第百九十二話 誕生日は昨日だった
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や大中破した事を報告してきた。
「閣下、敵艦隊ほぼ沈黙しました」
頃合いが良いかと、不敵な笑みを浮かべたロイエンタールはワーレン提督に連絡をする。
「ワーレン少将、頃合いかな」
そう言われたワーレンも不敵な笑みを返す。
『ロイエンタール少将、そろそろ時間だな』
「ああ、俺が切っ先を作るので、卿は後方を頼むぞ」
『諒解した。まあ、敵を精々焦らせてやろう』
お互い敬礼して通信を切ると、ロイエンタールは命令を出す。
「各艦、紡錘陣形を取れ、敵を精々焦らせる事にしよう」
「はっ」
「全艦突撃」
ロイエンタール、ワーレン混成艦隊は紡錘陣形を取り同盟軍主力へ向け突撃を開始したが、射程距離に達する前に踵を返すように帰投し始めたのである。
「全艦反転帰投する」
そう言うロイエンタールの顔には笑みが零れていた。何と言ってもロイエンタールも生まれながらにして邪険にされ続け鬱積していた事が、結婚と我が子の誕生、陛下と殿下による政治改革を見るにつけ、今までのような不平不満を考えず、人生を投げていたかの様な言動もなりを潜めたことで、最近は以前に比べ丸くなり同僚とのコミュニケーションも取れるようになっていたからである。
■イゼルローン回廊 自由惑星同盟軍宇宙艦隊総旗艦アイアース
アイアース艦橋では、撤退していった敵艦隊とズタボロに成りヨロヨロと撤退してくるホーランド分艦隊の生き残りの姿に先ほどまでの歓声は途絶えていた。
しかし空気の読めないフォークは『敵の最後の足掻きだ』などと言っている。
その空気に触れ、参謀達からも『要塞突入部隊がそろそろ司令部を占拠する頃だ』などと希望的観測が言い始められていた。
「時間がかかり過ぎますな」
暗に失敗したのではと、グリーンヒル総参謀長がロボス元帥に話しかけるが、ロボスはジロッと一瞥しただけで直ぐにスクリーンに映るイゼルローン要塞を見る。
そうした行動を数回続けた時、イゼルローン要塞より通信が来ているとオペレーターが伝えた。
「閣下、イゼルローン要塞より通信が入っています」
その言葉に、作戦が成功したかとニンマリするロボスは直ぐにスクリーンに投影する様に命じた。
「直ちに、メインスクリーンに廻せ」
「はっ」
其処に映ったのは、ロボス達が期待していた同盟軍突入部隊総指揮官ハーベイ少将では無かった。
『あら一瞥振りね、壮健だったかしら。妾は非常に気分が悪いのだけれども、理由はお判りよね』
スクリーンに映った人物は見事なドレスにティアラまで乗せ、完全にドレスアップしたテレーゼ皇女であった。その姿に唖然と成る同盟軍に対して彼女は矢継ぎ早に話を行う。
『昨日は妾の誕生日だったのだけど、その方らの薄汚い騙し討ちのお陰で、パーティーも出来ませんでしたのよ。まさか誕生日プレゼン
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