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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百九十二話 誕生日は昨日だった
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ワーツ提督がヤンの肩を叩いて慰める。
「参謀長、間違いは誰にでも有るから気にせぬ事だ」
「はい」
ヤンはそう言うしか無かったが、頭の中では『あの敵の司令官はみすみす勝機を捨てた訳だが、それに気づかない程度の人物なのか?それとも何か意図が有るのか・・・・・・』と考えていた。

ヤンの意見具申を無視した総司令部であったが、ヤンの指摘通りに敵艦隊が突入の構えを見せたために一時は混乱したが、結局の所、杞憂であった為に、総司令部ではヤン・ウェンリーは余計な意見具申で時間を浪費させたと、元々シトレの秘蔵っ子として嫌っていたロボス元帥をはじめとして総司令部参謀から忌諱される事に成っていった。




■イゼルローン回廊  銀河帝国軍 ロイエンタール艦隊旗艦モルオルト

「うむ、中々難しいものだな」
ワーレン艦隊との混成艦隊の総指揮を行うロイエンタールは同盟軍分艦隊に対する攻撃を見ながら呟いていた。
「閣下、如何致しましたか?」
副官のエミール・フォン・レッケンドルフ中尉が心配そうに尋ねてくる。
「いやな、殿下も難しい宿題を出されると思ってな」
少々不敬な言動をしながらニヤリと笑うロイエンタール。此が旗下にベルゲングリューンが居たとしたら『閣下、滅多な事は御言いに成りますな』と血相変えたであろうが、司令官の性格を知っているレッケンドルフは思わず苦笑いしながら答える。
「確かに、敵の旗艦を生かしたまま敵艦隊を撃退する訳ですから」
「そう言う事だな、敵を撃退するだけなら、俺でなくても良い訳だからな」
ロイエンタールの言葉にレッケンドルフは頷く。
「しかし、敵の司令官を生かしておいて何の得があるのでしょうか?」
「何でも、敵の司令官ホーランドとやらは、戦略戦術の天才にして、未来の大元帥『イゼルローンを落とし、長駆してオーディンを攻略し、皇帝陛下を処刑して、帝国を滅ぼすのは俺だ』などとほざく少々頭のネジが緩んでいる奴らしくてな」
流石に驚いたレッケンドルフはロイエンタールの不敬な言葉に遮音力場が作動しているか慌てて確認する。
「閣下、不敬な事を仰いますな、何処で聞かれているか判らないのですぞ」
それを聞いたロイエンタールは彼にしては珍しく笑いながら答えた。
「なに、その台詞自体、殿下からの受け売りだ。その上、事態は皇帝陛下もご存じでな。『予を処刑すると言うならば、一万光年を辿り着いてみよ』とお笑いに成ったそうだ」
「ならば尚更、叩いた方が良いのでは無いのですか?」
「俺もそれを言ったが、殿下曰く『馬鹿とハサミは使いようと言うでしょう』とはぐらかされてな。どうも誤魔化されているようで納得は出来なかったが、まあ仕方ないと言う事だな」
「なるほど」

その様な話をしている中で、オペレーターから敵旗艦以外の殆どの艦艇が破壊
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