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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百九十二話 誕生日は昨日だった
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艦隊など撃滅できる所で有ったが、敵艦隊は何故か一隻一隻を狙撃するようホーランド分艦隊を撃破し続けていたが、有る一定の損害を与えると紡錘陣形に変化させ始めた。

その動きを見ていた第七艦隊分艦隊参謀長ヤン・ウェンリーは『不味い』と呟くと、ワーツ提督に進言した。
「閣下、敵はホーランド分艦隊を突破後に我が軍の左側面を突くつもりです」
そう言われても、何のことか判らないワーツ提督は質問を仕返す。
「参謀長、其れはどう言うことかね?我が方は敵の二十倍以上だが」
ヤンは、キーボードで状況を図で説明する。
「此をご覧ください。敵艦隊が紡錘陣形を取りつつあります。此はホーランド分艦隊を突破しそのまま同盟軍本隊へ向かうと思われます。何故なら我が方はトールハンマーを避けて布陣しているために、敵艦隊の襲来する方面へ向けられる戦力はさほどでありませんので、結果的に同数程度の先頭だけで戦う羽目に成ります」
そう言われて初めて問題点に気が付くワーツ提督だが、未だ動きは鈍い。
「参謀長、それでは数の優位を生かせないな。しかし総司令部もそれぐらいは把握しているのではないか?」
「確かに、そうとも言えますが。万が一と言う事も有りますが」
「うむー、判った。ホーウッド提督に連絡して貰おう」
直ぐさま第七艦隊司令部へ連絡し、事態の深刻さを伝え、総司令部への意見具申を願うと、人の良いホーウッド提督は二つ返事で連絡をしてくれたが、総司令部の反応は散々な物であった。

ホーランド分艦隊が攻撃されている最中であった故であろうか、出たのはフォーク中佐であった。
『忙しい最中に、何の用ですかな?』
その人を小馬鹿にした様な態度にホーウッド提督もイラッとするが、軍全体のこととして我慢してヤンより聞いた話を手短に伝える。
「と言う訳で、ロボス元帥閣下に、伝えて欲しい」
『一分艦隊参謀長如きの戯れ言を伝えるためだけに、態々この忙しいときに連絡をしてくるのですかな?此では利敵行為と言われても仕方がないですぞ』
温厚なホーウッド提督でも流石にカチンと来て言い返す。
「意見具申は軍規にも明言されている」
『まあ、戯れ言でも意見具申と言えば通りますからな、我々は忙しいので失礼します』
そう言い、フォーク中佐は一方的に通信を切った。

ホーウッド提督は真っ黒なスクリーンを見て唖然としていたが、取りあえずワーツ提督へ連絡し、ヤンに事の次第を伝えた。
『総司令部ではフォーク中佐が出たが、全く取りあわなかったよ』
「判りました」
結果ヤンの性格上これ以上意見具申をしても無駄だと考えてしまった。
しかし、ヤンの考えは杞憂だったとあざ笑うかのように、突撃艦隊はホーランド分艦隊を突破後に一旦は同盟軍本隊へ向かうかに思えたが、そのまま急速転回してイゼルローン要塞へと帰投していった
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