2部分:第二章
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第二章
「厄介な奴が去ってからだな」
「はい、それを狙って来ます」
「それで肝心の爆撃機を撃墜していきます」
「そうして損害が増えています」
「それが問題です」
「今度は我々がそうなったか」
アイゼンハワーの目は遠いものを見るものになった。
その目でだ。彼は言った。
「かつてのバトルオブブリテンではドイツ軍が航続距離に悩まされたな」
「はい、ドイツの戦闘機は航続距離が短くです」
「ロンドンに来てもすぐに帰らざるを得ませんでした」
「そこで護衛のいなくなった爆撃機を襲うか引き返す戦闘機を襲っていました」
「ですがそれはです」
「我々も同じでした」
そうなっていた。敵と同じことはこちらにも起こるのが戦争なのだ。
「それが今です」
「今の我々の状況です」
「航続距離が問題です」
「護衛の」
「戦闘機を守る護衛がいなくては戦略爆撃が成り立たない」
果たしてだ。そこがどうなるかだった。
「何とかしなくてはな」
「単発の運動性能のいい戦闘機でなければ護衛戦闘機は務まりませんし」
「これもバトルオブブリテンではっきりしていますし」
これもドイツ軍からだった。双発の大型戦闘機は当初航続距離等から爆撃機の護衛に向いていると思われた。だが運動性能のなさが問題になりだ。撃墜されていったのだ。
だからだ。アメリカ軍の誇る双発双胴の戦闘機P−38ライトニングは。
「ライトニングでは無理です」
「あれはあれでいい戦闘機ですが」
「爆撃機、しかも昼を担当するアメリカ軍の護衛はです」
「無理です」
「夜はイギリス軍だ」
この割り当ては動かせなかった。何故か。
「ランカスターを昼にやるとな」
「はい、お話になりません」
「フライングフォートレスどころの損害ではありません」
「武装は弱く装甲も薄いです」
「しかも遅いですし。そらを飛ぶ的です」
それで昼にドイツの空に行けというのはあまりにも酷であった。
「ランカスターは夜しかできません」
「夜ならイギリス軍のモスキートが護衛にできます」
「双発の戦闘機でも夜なら護衛はできます」
「しかし昼は」
「我々の担当する昼は」
そこが問題であった。とにかくだ。
彼等には護衛の戦闘機がいなかった。いてもドイツまで辿り着けなかった。それが結果として戦略爆撃そのものへの疑問とさえなっていた。
アメリカ軍は実際に暫くはドイツ本土への戦略爆撃は止めた。しかしだ。
それでもだ。それ自体を諦めたのではなかった。アイゼンハワーはだ。
参謀達にだ。あくまでこう話していた。
「ドイツ本土にまで行ける戦闘機だ」
「フライングフォートレスを護衛できる戦闘機ですね」
「ドイツの奥深くまで」
「あるか」
それがあるかどうかであった。
「確か今
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