第139話 孫権と甘寧
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貴方様がこの店で働いていると知ったら大問題でございます!」
愛紗は全力で正宗に意見をした。それに不満気な表情を浮かべるのは呂岱だった。
「愛紗、それはどういう意味だい?」
呂岱は目つきを悪くして愛紗を見た。
「女将さん、言葉の綾です。女将さんが怒るような意味は決してありません」
「じゃあ、どういう意味なんだい?」
呂岱は愛紗に問いただす。正宗は呂岱と愛紗のやり取りを見て面倒臭そうな表情になる。
「定公、そう愛紗をいじめるな。愛紗は私の立場を慮っての言葉だ。朝廷の重臣が飲食店で働いているのを名士に見られては私の面子が潰れると考えたのだろう。文句があるなら私に言ってくれ。それよりさっさと料理を早く作ろう。余り待たせては客に悪いだろ」
「んんん。分かったよ。正礼、ちゃっちゃと野菜炒めを作っておくれな」
呂岱は納得いかないような表情をしつつも正宗の言葉に異を唱えずアヒル丸焼きに甘辛いタレを塗る。タレがいい塩梅に焼けて調理場中に良い匂いが漂ってきた。この匂いは店の方にも漂っていることだろう。
「定公、機嫌を治せ。後で酒の差し入れをする」
「酒ぐらいで私が機嫌を治すと思っているのかい」
「只の酒ではないんだがな……。ああ、残念だなぁ……」
正宗は中華鍋に湯を注いで野菜をさっと湯引きし、それを調理皿に移しながら態とらしく残念そうに言った。
「へぇ、どんな酒なんだい?」
呂岱は興味無さげにしながらも正宗に尋ねてきた。
「私が荊州にいると知った商人が朝廷に献上している極上酒を一樽融通してくれるらしいのだ。折角だから呂岱と飲もうと思ったのだが。そうか飲みたなくないか。残念だな」
正宗は態とらしく残念がった。それを忌々しいような表情で見つめる呂岱。
「定公、分かった。酒は他の者と飲むことにしよう」
正宗は爽やかな笑みを呂岱に向け言った。
「飲みたくないとは言っていないじゃないかい」
呂岱は正宗に抗議するように言った。
「野菜炒めを仕上げるとしようか」
正宗は呂岱を無視して中華鍋に油を張り湯引きした野菜を放り込む。次いで調味料を加えて勢いよく野菜に油を絡めながら炒めた。
「正礼。飲みたい」
呂岱は正宗に泣きそうな表情で見つめた。そんな呂岱を正宗は無視した。
「正礼〜。酒が飲みたい。飲ませてください。愛紗の件は水に流すよ。私が悪うございました」
「定公、機嫌を直してくれて私は嬉しいぞ。今晩は皆で酒を飲みあかそうぞ。愛紗も参加するか?」
正宗は爽やかやな笑みを呂岱に向け言った。
「是非に」
愛紗の返事に正宗は満足そうな笑みを浮かべ、皿を二人分用意し野菜炒めを取り分けていった。
「正礼、お前はいい性
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