第139話 孫権と甘寧
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正宗は呂岱と愛紗の顔を見比べ、諦めた表情を浮かべると愛紗に言った。愛紗は安堵して店に出て行った。
「正礼は調理場を手伝ってくれるかい」
「ああ」
正宗は呂岱に声をかけられ一緒に調理場に移動した。
正宗が調理場で入ると店内で愛紗が接客する声が聞こえてきた。彼は店内の客の人数を気配で把握し、注文が来るまで時間を潰すために店内の物音に耳を澄ませていた。
「客は女二人だな」
「そうなのかい? 聞こえる声は二人だけだけど、そうとは限らないんじゃないのかい」
意味深な表情で呂岱は正宗の言葉に興味深げな表情で尋ねてきた。
「気配が愛紗を入れて三人しかない」
正宗は呂岱に視線を向け行った。
「たまげたね。もしかして正礼は気を扱えるのかい!?」
呂岱は驚いた表情を浮かべて正宗のことを凝視していた。正宗は一瞬口籠るが軽く頷いた。
「その歳で異例の出世を遂げたことはあるね」
呂岱は正宗のことを感心したという表情で見た。
「定公、気のことを知っているのか?」
呂岱は頭振った。
「詳しいことは知らないが小耳に挟んだことがあるんだよ」
「女将さん、注文取ってきました。アヒルの丸焼き、野菜炒め、ご飯をそれぞれ2人前です」
正宗が呂岱が手持ち無沙汰げにしていると愛紗が調理場に入ってきた。彼女は客から受けた注文の内容を呂岱に言った。
「あいよ。正礼は野菜炒めを頼むよ」
「分かった」
呂岱と正宗は各自の持ち場につく。正宗は真剣な表情で野菜を切り、呂岱は奥から血抜き済みのアヒルを持ってきた。
「愛紗、どんな客なのだ? この店にアヒルを頼むような奴は美羽位のものだろう」
正宗は丁度野菜を切り下ごしらえを終わると徐に愛紗に言った。
「はぁ、身なりから庶民という感じがしませんでした。お付きと思われる者は目つきが悪く話し掛けづらかったです。何処ぞのお嬢様ではないでしょうか」
愛紗は客二人のことを淡々と話しだした。客二人は主従の関係のようであり、従者は柄が悪そうである。愛紗の表情からもあまり良い印象を受けない人物なのだろう。正宗は興味深そうな表情をした。
「目つきが悪いお付きの者か……」
「何か気になることでも」
「主人らしき者は身なりが良いというなら、柄の悪い従者は食客なのかもしれないと思ってな。食客を抱えることができる者となれば、それなりの名士かもしれない。店に来ている者は主人でなく娘という可能性もあるかもしれないが、どのような人物か見てみたい」
正宗は興味深そうに笑みを浮かべ店の方を見遣った。愛紗は驚いだ表情で正宗に勢い良く近づき 両掌を振り正宗の行動を制止した。
「正宗様、滅相もございません。
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