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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十八話 手向けの酒
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「オーディンで混乱が生じればローエングラム侯は必ずオーディンに向かう。後方支援の根拠地が混乱するのは受け入れられない。そしてグリューネワルト伯爵夫人を守るために必ずオーディンに向かう」
「……」
「その隙を狙ってレンテンベルク要塞を奪回します。ローエングラム侯をヴァルハラ星域に押し込める……」
オフレッサーとリューネブルク中将が顔を見合わせた。
「楽しくなるな、リューネブルク」
「同感ですな」
「まだ死に場所では有りませんよ」
「分かっている」
オフレッサーが答えるとリューネブルク中将も頷いた。
「もう勝率は二パーセントとは言わないでしょう?」
「言いませんよ、中将。辺境星域の平定が失敗した、キルヒアイス提督が戦死した、現時点で五十パーセントかな。いや、キルヒアイス提督が戦死したのだから六十パーセントか。オーディンで混乱が起きレンテンベルク要塞を奪還できれば八十パーセントと言って良いと思います」
「八十パーセントか、勝利は目前だな」
「残念だがそうは行かないな、アントン・フェルナー。残りの二十パーセントが困難なんだ。ラインハルト・フォン・ローエングラムを戦場で斃さなければならないんだから」
「……」
エーリッヒが俺達を見回した。
「今回ここまで上手く立ち回れたのは内乱だからです。貴族、平民の利害関係、国内の問題、皇帝、それらを上手く利用出来ました。そして相手を混乱させる事が出来た。軍事よりも政治で優位に立つ事が出来たから戦局が有利になったんです」
“なるほど”とリューネブルク中将が頷いた。
「純粋に戦闘のみなら向こうはこちらよりも強いですよ。残り二十パーセントを掴み取るにはその部分をいかにひっくり返してローエングラム侯を斃すかという難問を解決しなくてはなりません」
三人で顔を見合わせた。オフレッサーが息を吐くとリューネブルク中将が軽く苦笑を浮かべた。
「ローエングラム侯の欠点です。反乱軍を相手にしている分には問題は無かった。特に向こう側に踏み込んで戦っている分には。政治的な思考は必要としなかったから、ただ勝てば良かったから」
「……」
声に哀しみが感じられた。ローエングラム侯を哀れんでいるのか?
「だがその欠点が辺境星域での焦土作戦でモロに出た。勝てば良い、武勲を上げれば良いという発想が自国民を平然と踏み躙るという愚行を引き起こした。有能な軍人では有るが政治家に要求される細やかな配慮は出来ない人なのだな、惜しい事だ」
やはりそうだ、哀れんでいる。侯を惜しんでいる。
エーリッヒがグラスのワインを一息に飲み干した。
「おい、大丈夫か」
「心配はいらない。フルーツワイン、アルコール度は五パーセントだ、一本空けても大した事にはならない」
「そうは言っても……」
エーリッヒが
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