第三十五話 月光の下でその二
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まずは菊が仕掛けた、右手に持っているその十字手裏剣を幾つか怪人に向けてサイドスローの要領で投げた。
三つの手裏剣はそのまま一直線に進む、だがその手裏剣達を。
鮫の怪人は身体を左に捻ってかわした、そして言うのだった。
「この程度ではないな」
「そう思う?」
「何っ?」
「手裏剣の投げ方も色々よ」
この言葉と共にだった、その三つの手裏剣達は。
その左にかわした怪人のところに向かった、シュートして。
怪人はその手裏剣達を今度は右手で払って弾き返した。そして言うのだった。
「くっ、俺の動きを読んでいたのか」
「右にかわすことも考えたけれどね」
「それを何故左に向けた」
「足の動きよ」
それを見て、というのだ。
「あんたのね」
「俺のか」
「そうよ」
「ああ、そうか」
ここで薊は気付いてだ、怪人に聞かれない様に小声で裕香に言った。
「あの怪人左足が前に出ているな」
「あっ、確かに」
裕香も言われてそのことに気付いた。
「そうよね」
「だからな、かわす時にな」
「無意識のうちになのね」
「足を動かすからな」
「だからなのね」
「あの怪人は身体を左に動かしたんだよ」
そうしてかわしたというのだ。
「そうしたんだよ」
「そういえばソフトボールでも」
「だろ?足の向きでな」
「どう動くかがわかるのね」
「剣道とかは足が決まってるけれどな」
右足が前、左足が後ろで正面を向いている。そうして相手に正対する姿勢になるのが剣道の構えである。
「それでもこうした時はな」
「相手の格闘スタイルが決まっていないと」
「相手の足を見たらな」
「どう動くかがわかるのね」
「相手が意識していないならな」
自分の足の向き、位置にだ。
「それが特に出るんだよ」
「それをどう見抜くかが大事なのね」
「ああ、戦いにはな」
薊は戦いを見つつ裕香に鋭い目で述べた。菊は怪人と接近戦に入り忍者刀を振り手裏剣を左手に握ってそのうえで闘っている。
その菊、それに向日葵を見つつだ。裕香にさらに言った。
「見抜くことも大事なんだよ」
「そうしたことを」
「相手がいてその相手をどう倒すか」
「それが戦いだから」
「それでなんだよ」
「足もなのね」
「そうだよ、菊ちゃんも頭がいいからな」
少なくとも悪くはない、利発なタイプである。
「そうしたこともわかっているんだよ」
「そうなのね」
「ああ、じゃあこのままな」
「二人の戦いを見ていくのね」
「そうしような」
薊はこう裕香に言うのだった、そして向日葵もだ。
接近してきた怪人に足払いを仕掛けていた、怪人は右の屈み回し蹴りを真上に跳びその時に尾を振って逆に向日葵の顔を襲った。
その一撃で向日葵は顔も頭も潰されかねか
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