第三幕その六
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「僕のことを好きでもないと思うよ」
「だからここでね」
「一気に前に出ないとね」
「だから先生は駄目なんだよ」
「そうそう、そんなのだからね」
「いつもね」
動物の皆は少し小言めいて先生に言うのでした。
「女の人に縁がないんだよ」
「そんなのだからね」
「だからもっとね」
「前に出ないとね」
女の人に対しても、というのです。
「駄目だよ」
「さもないと本当にね」
「ずっと独身だよ」
「結婚出来ないよ」
「奥手なんだから」
「そこ何とかしないと」
「だから別にね」
本当にこのことについてはです、こんな調子の先生でした。
「日笠さんは特に」
「だから最初は皆そうだから」
「誰だってそうなの」
「そこから関係を発展させるものじゃない」
「だからなのよ」
それで、というのです。
「先生から前に出て」
「もっと仲良くなってね」
「そうしてね」
「結婚してね」
そうしてというのです、動物達は。
「僕達を安心させてね」
「本当に最近心配になってきたから」
「先生一生独身じゃないかって」
「只でさえ女の人と縁がないのに」
「このままずっととかね」
「本当に洒落にならないから」
「だから頼むよ」
本当に心から言う動物の皆でした。
「日笠さんともね」
「あの人がいい人ならね」
「考えてよね」
「頼むよ」
「何か僕ってそこまで心配になるのかな」
「なるから言うのよ」
ポリネシアが先生に言います。
「ずっと私達と一緒にいるつもり?」
「いや、それは」
「確かに私達は先生の友達で家族よ」
ポリネシアもこのことは否定しません、他の皆もです。
「けれど奥さんは別だから」
「是非迎えてだね」
「そういうことでも幸せにならないと駄目よ」
「難しいね、幸せって」
先生は少し苦笑いになってこうも言うのでした。
「皆がいて仕事とお家があって美味しいものを食べられるだけで充分じゃないんだ」
「結婚もそこに入るんだよ」
ジップもぴしゃりとした口調です。
「先生、結婚しないと駄目だよ」
「そうなるんだね」
「そう、是非共ね」
こう言ってでした、そのうえで。
先生は動物達に言われて日笠さんのことを意識しだしました、けれどそれはどういう人なのかと思っただけでした。
それで、です。午後になってです。
日笠さんにです、お聞きすることはといいますと。
「ところで日笠さんは」
「何でしょうか」
二人は今はアナグマのコーナーにいます、そこでアナグマ達の歯を見ながらそのうえで隣にいる日笠さんに尋ねたのです。
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