第十話 Reverse-反転
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いたのは、俺かもしれないんだからな……。
こんなこと考えるのはよくないって、本心じゃわかってる。
だが、思わずにはいられない……。
「桜花、シャム。 明日の狩りは中止して、クーレイトの心のケアと……」
そこで一度区切り。
どうにかしてスラムへの償いが出来ないか少し考えた末に。
「スラムの墓でも、作りに行くか……」
そんな提案を、口にした。
どっかで聞いたことがあるんだよな。
SAOで墓が作れるって。
「そうだね……そうしよう」
それに真っ先に同意してくれたのは、シャムだ。
「わかった。 私もそれに賛成する」
少し遅れて、桜花も同意を口にする。
これで……決まりだな。
これで本当に償いになるかはわからないが。
やらないよりはまだいいだろうと、俺は考えつつ、ガンマさんと共にクーレイトのケアに当たることにした。
――――――
心の中に渦巻く、この感情。
これが、僕が求めていたものか。
これが、僕が得たものか!
何処までも、青く、蒼く、碧く、美しい螺旋を描くこの感覚!
頭の上のポインターはまだ緑だ。
僕は結果的に、MPKを、殺人を、ヒトゴロシを行ったっていうのに!
ガンマは僕を必死に慰めてくるし、アルス達は同情の目で僕を見てくる。
僕は正しかったんだ!
僕は何も悪くないんだ!
悪いことをしたのに、罪にならないんだ!
マイナスを行ったのに、プラスしか帰ってこない!
この世界は、素晴らしい。
先生、わかったよ、僕の心が。
先生、ありがとう、教えてくれて。
僕の中は、こんな、どうしようもないマイナスを求めていたんだ!
積み重ねたブロックをハンマーで叩き割ったかのような、この感覚。
何処までもクリア! 清涼感! 爽快感!
プールから顔を出したかのような、この気持ちのよさ。
サウナから出て扇風機に当たった時のようなこの体中から湧き出る感覚。
けど、これで終わりじゃない。 満足しきっちゃいけない。
今回覚えたことで全部じゃない。
死には色んなパターンがある。
人の感情には、無限の可能性がある。
それを全て引き出すまでは、終われない。
ここで満足しちゃダメなんだ。
まだ上がある。 もっと上がある!
だから、僕はここで終わらない。 終わっちゃいけないんだ。
表面上は悲壮感を演じながら。
僕の心は、確実に一歩前進した。
これから先、もっと、もっと、多くの嘆きを、死を、感情を見るため、覚えるために!
【Dirac】[序列五位]
[MPK]
Cooreat[クーレイト]
―Cool&Great―
《俳優》Lv60
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