第十話 Reverse-反転
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たことの無い表情で。
「いやだ。 こんなの、イヤだああああああああああああッ!!!!!」
耳を劈くようなスラム君の断末魔と、その顔も。
僕が今まで、見たことのない、見れない表情だった。
……覚えた。
覚えた覚えた覚えた覚えたァッッッ!!!!!!
データの海に消えていくスラム君の体は、何処までも綺麗で。
その悲痛な表情とのギャップがたまらなくて。
僕の感情は耐えられないほど、爆発寸前だった。
「うわあああああああ! スラム君!!!!」
僕はすぐに、感情を露にしたようにして、顔を抑え、その場に膝をつく。
顔を抑えたのは、嘆きからじゃない。
抑えられないんだ、この笑みが……!
「ッ!! チクショウがぁああああッ!!!!」
アルスがすぐに、スラム君を葬った二体のモンスターを一掃し。
僕の隣に居たシャム君が、無言で僕のHPを回復してくれた。
――――――
スラムが死んだ。
その事実は、何よりショックだったし、目の前であんな死に方をされるとは思わなかった。
あの後、俺達はガンマさんに連絡を取り、一度広場へと戻ったが……。
一番ショックを受けていたのはクーレイトだったみたいで、ずっと俯いて、両手で顔を覆っていた。
そして時折、僕が悪いと呟いていた。
……違うな。 クーレイトが悪いわけじゃない。
今回は只管に、運が悪い。
どうしてHPがあんなんなるまで戦っていたのかはわからないが。
クーレイトも回復アイテムが切れていたと考えると、相当運の悪い事態に遭遇したんだろう。
「ねぇアルス。 私はスラムって人がどんなんなのかよくわかんないから、あんまりショックはないんだけど……。
人が死ぬって、やっぱり重いんだね……」
隣でクーレイトを見つめながらそう口にする桜花に、俺は黙って頷く。
「死んだやつは戻ってこないし、残った俺らもいい思いはしない。 デスゲームってのは、こんなにもいいところが無いんだぜ……」
俺がそう呟くと、背後にいたシャムが、一歩踏み出し、俺の隣に並んだ。
「……アルス、私は聖龍連合にいる関係上、何人も死んだのを見ましたが……いや、見たけど。
やっぱり、いいものじゃないよね。 事故死にしろ、ボスにPKされたにしろ、仲間が死ぬってのは……」
敬語をやめ、本心で語りかけてくるシャムに。
「……そう、だな。 こればっかりは慣れねぇよな。 25層のボスの時もそうだったが、精神的にクるもんがある」
俺も、敬語をやめて、本心で返した。
特に、それまで一緒に狩っていた仲間が死ぬっていう衝撃は、相当だろう。
俺は正直に言えば、一緒に狩っていたのが俺じゃなくてよかった、とすら思ってる。
下手したら、今のクーレイトみたいになって
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