第十話 Reverse-反転
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子さいさいという言葉を使う人間がいたことには驚いたけど。
年上に平気で溜口で接して、自分に自信があるような彼なら。
ここで僕に甘えず、自分の勇気を試すことをしてくれると、思っていた。
そう思っていると、早速、敵が二体沸く。
「っ! スラム君、少し下がろう! ここは沸くポイントだ!」
「わかった! 逃げてる間、背中は任せろー!」
そんなやり取りをして、アルス達と少し距離を広げる。
そんな間にも、スラム君は戦闘し、徐々にHPゲージが削れて行く。
けど、二体を上手く迎撃することには成功したようだ。
それを確認した後。
僕は、スラム君に気づかれないように、持っていた投擲用の剣を、2、3本森の中へと飛ばす。
同時に、マップを開き、アルス達の位置を確認。
合流までは、30秒といったところか……。
「スラム君。 30秒もすればアルス達と合流だ! 耐え切ろう!」
「ああ、大丈夫! ちょっとヤバいけど、マトモに食らわなきゃ、いけるよ!」
大人しく転移結晶を使えばいいのに、とか思ったりするけど。
そうしないように誘導してるのが僕なんだけどね。
そんなことを思っている間に。
アルス達が現れる。
「クーレイト! スラム! 大丈夫か!」
「アルス! ガンマから連絡は行ったかな!?」
僕はすぐに、アルスに向かって駆け出す。
同時に、スラム君の背後はがら空きだ。
「はぁ……これで一先ず安心だなぁ……」
スラム君はそれに気づかず、気を抜いて、僕らへと近づこうとしてくる。
その瞬間だった。
「ガァアアアアアアアアッ!!!」
耳を劈く咆哮と共に、スラム君の背後に、二体のモンスターが現れたのは。
いや、正確には……。
ターゲットをとっていた相手が、ようやく来たんだ。
僕が投げた、投擲用の剣。
あの時、遠くにいたモンスターに当たり、ターゲットを取れた。
保健用に2、3本投げたのは正解だった。
思惑よりも、一体多く、現れてくれた。
ターゲットとなっている僕はアルスの前に居る。
その背後に、対角線上になるようにいるのは、スラム君だ。
当然、ターゲットが僕になっていたからといって、スラム君を素通りするわけじゃない。
ターゲットは変更され、同じPTを組んでいたスラム君へと、容赦なく襲い掛かる。
「スラム君! 危ない!」
僕は、わざとらしく必死さを装い、叫ぶ。
「スラム!!!」
助けようと走るアルスよりも早く。
モンスターの攻撃は、スラム君の体を、貫いた。
「え……!?」
驚きながら、貫かれた己の体を確認するスラム君の表情は。
僕が今まで見たことの無い表情で。
HPバーが赤を通り越して、クリアになっていくのを見るアルス達の表情も。
僕が今まで見
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