第十話 Reverse-反転
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残された僕は、スラムへ回復アイテムを早速渡すことにする。
しかし、渡すのは……。
「とりあえず11個でいいかな? 僕も実は残りそれくらいしかないんだ」
「え、大丈夫か? ていうか11個って、もしかして……」
「うん、全部だよ。 けどほら、僕は大丈夫だから」
そんなことを笑顔で演じると、スラム君は少しだけ心配したような顔をした後。
「ううーん。 まぁ、クーレイトはここで引き下がるようなやつじゃないしなぁ。 乗り気じゃないけど、もらっておくよ。
けど、無理はするなよ!」
そんな頼もしいことを、言ってくれた。
……まぁ、実はまだまだ余ってるんだけどね。
けどこの場はこれでいい。
「それじゃあ、えーと、ここからだと圏内よりアルス達のが近いから、先に合流しようか。
あっちにも連絡は行ってるだろうしね」
僕がマップを開きながらそう口にすると、スラム君は簡単にそれに同意する。
あとは、ただ二人で、アルス達と合流すべく歩き出す。
合流まで、5分、と言ったところだろうか。
だが、その5分の間。 わずか5分の時間。
スラム君は、僕にダメージを与えないために、只管眼前に現れる敵と戦闘し続ける。
勿論、僕も応戦する。
あくまでも、補助、としてね。
アタッカー兼盾はスラム君だ。
そうしている間に、スラム君の顔がどんどん青ざめていく。
HPバーを見ていれば、その理由は一目瞭然だった。
多分、僕からもらった回復アイテムを含めても、残りが殆どないのだろう。
そりゃあそうだ。
僕にダメージを与えないために、普段より張り切って、無茶をして、ごり押しで進んでいってるのだから。
しかも盾役がいないから一人で二役を演じることとなる。
……仮にもしこれがガンマだったら、もっと減りが早かったかもしれない。
僕の回復アイテムが無くなったら、アイツは凄く躍起になるだろうからね。
スラム君だからこそ、まだ持ってる、というところだろうか。
アルス達と合流もうすぐ、となったその瞬間。
スラム君の足が止まる。
「……ヤバいぞ……。 僕も回復アイテムがもうない……」
HPバーが黄色になっている状態を見ても、それは恐らく事実だ。
「困ったね……。 しょうがないから、アルス達が来るまでここで待つしかなさそうだね……」
僕も黄色になったHPバーを見せながら、窮地を演じてみせる。
そんな僕の演技を真に受けたのか、スラム君は少しだけ胸を張った。
「そうだね……けど大丈夫! 敵の一体や二体くらいなら僕が頑張るよ! クーレイトは投擲武器だから、接近戦は不利だろうしね!
それに比べて、僕は短剣だから、接近戦ならお茶の子さいさいさ!」
スラム君なら、そう言ってくれると思っていた。
まぁ、未だにお茶の
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