第十話 Reverse-反転
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たが、高校時代でも五教科400点は取ってたぞ」
そんなことを、サラっと呟いた。
「400!? おい! 何だよソレ! 成績超いいじゃんか! つか高校時代って、お前何歳だよ!」
そんなことを吼えるウスラに、天国の扉はフッと冷笑を浮かべた後。
「バカに教えるわけないだろ」
それだけ吐き捨て、自慢の高速移動で、己の自室へと戻っていった。
「ば、馬鹿って言うんじゃねぇよ!! チクショウ!!」
ウスラのみとなった酒場には、そんな悲痛な叫びだけが木霊した。
――――――
運命の日の朝。
バーチャルで所詮デジタルな世界の朝日がデータのこの体に当たる。
体に気だるさはないけれど、脳からの信号が体を動かすのに多少のラグがあるようだ。
レスポンスがあまりよくない。
しかし、それでも僕の心は何処までも澄み渡っていて。
ウィンドウズのブルースクリーンよりも遥かに青く、ネットの海より遥かにディープだった。
実行するのは僕で。 プログラムの指示通りに消えるのは僕じゃない。
さぁさぁ、何も知らないアルス達、君達に気づかれないようにそれをするのが今回のゲームだ。
そうだそうさ、この世界は一つのゲーム。
いくらリアルだからと言ってそれを忘れちゃいけない。
僕達はこんなどうしようもないネットゲームに夢中になってるんだ。
まるで新しいゲームを買ってもらった小学生みたいに。
寝ても覚めても、寝る間も惜しんで、学校の授業を放り出してこんなことをやってるんだ。
リアルに戻ればこんなのは何にもならない。
得るものなんか何もないんだ。
ただの浪費、消費者、一つのプレイヤー。
それでも、面白いからやってるんだろう。
それでも、楽しいからやってるんだろう。
僕もそうさ、僕もそうなんだ。
今から始める新しいゲームが楽しみでしょうがない。
発売日前に雑誌を読んで興奮する中学生みたいに。
頭の中はその話題でいっぱいで、みんなにそれを言いたくて仕方ないのさ。
けれど僕はそんなことを口にしないし言葉に表さない。
秘密を大事にする高校生みたいに。
心の奥底で燻らせて、それに対しての期待を過度に持ってしまうんだ。
ああ、楽しいなぁ、楽しみだ、楽しそうだ。
結局、学生時代から変わってない、この時間を一々確認する癖。
暇さえあれば時計ばかり見て時間を確認してしまう。
始まりの時間が待ち遠しい。
この世界は素晴らしくて、楽しくて、待ち遠しい、僕の演劇舞台なんだから。
――――――
別段特に変わらない朝。
というかまぁ、狩る一時間前の起床なんだが。
ふと、時計を見ると、針は9時を指してる。
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