第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十九 〜開戦〜
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え……放てっ!」
連弩のようにはいかぬが、それでもかなりの数の火矢である。
そのうちの一部が振りまかれた油に引火し、敵兵の混乱に拍車をかけた。
「あ、熱い!」
「火を、火を消せ!」
「水、水だっ!」
こうなれば、最早統制の取れた動きなど望むべくもない。
指揮官達の制止も空しく、敵兵は散り散りになってしまう。
と、銅鑼の音が響き渡った。
「ご、ご主人様! 敵が!」
「うむ、引くか」
だが、手心を加えるつもりはない。
「朱里、霞!」
「は、はいっ!」
「任せとき!」
手空きの者皆が弓を手に取り、次々に放っていく。
如何に散り散りになったとは申せ、敵兵の数はまだまだ多い。
正確に狙わずとも、一人、また一人と矢の餌食になるばかりだ。
「おのれ土方! 出てきて私と勝負しろ!」
いきり立つ春蘭。
「お呼びですな、歳三様」
「ふっ、春蘭らしいと言えばそれまでだが」
「夏侯惇相手やったら、一騎打ちも悪くないなぁ。機会があったら是非お手合わせ願いたいもんや」
勝ち戦のせいか、皆にも余裕があるようだ。
「春蘭! 合図が聞こえないのかしら!」
と、敵陣から二騎が飛び出してきた。
あれは……華琳と秋蘭か。
「か、華琳様! しかし!」
「何度言わせる気? 下がりなさい!」
「……わ、わかりました」
春蘭は項垂れて、陣へと向かっていく。
そして、華琳と秋蘭はそのままこちらへと進んできた。
「ご主人様。どうなさいますか?」
「たった二騎で攻め寄せてくる事もなかろう。だが、構えだけは解くな」
「ぎ、御意です!」
命じた訳ではないが、疾風と霞が私の傍に立った。
よもやとは思うが、私が狙撃される事を懸念しての事か。
「歳三! いるのでしょう!」
やはり、私に何やら言いたいらしいな。
「歳三殿、相手になさいますな」
「せや。罠かも知れへんで?」
「いや、華琳はそのような真似を好まぬ。それに、遅かれ早かれ、私の所在は敵の知るところになるであろう」
二人は溜息をつき、頭を振った。
「そう仰せになるとは思いましたが」
「まぁ、歳っちやしな」
「すまぬな。応じぬとあれば華琳の事だ、何を言い出すかわからぬ」
そして、私は居並ぶ兵の前に進み出た。
「私なら此所だ」
流石に通常の会話のようにとはいかぬが、それでも腹から声を出すだけで互いに聞こえるようだ。
「やっぱりいたわね。久しぶりね」
「ああ。だが、何故私がいると思った?」
「あら。貴方の牙門旗が翻っているじゃない? それが何よりの証拠よ」
「ほう。旗のみ、とは考えなんだか」
「あり得ないわ。歳三がそんな真似をするとは思えないもの」
「ふっ、随分と買われたものだな」
「当然ね。私の兵を此所まで叩きのめす
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