第百四十話 キルヒアイス家の人々
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特別病棟にて死去されました。死因は肝硬変。当病院はミューゼル氏の回復に最善を尽くしましたが、入院時には既に手遅れのと言うべき状態でした。誠に残念では御座いますが、ご本人が入院直前までアルコールの摂取に対して自省して頂けなかったことが・・・』
「本人の健康管理に問題があったことは承知している。病院に責任がないことも、事態は了解した。御苦労だった」
『それでは』
心配したのかキルヒアイスが無言で俺の肩に手を置いてくれた。
「心配するなキルヒアイス、チャンと葬式には出るさ・・・・・・出ないと姉上に呵られる」
帝国暦484年10月15日
■オーディン ミューゼル家墓所 ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト
あの男の葬儀など出たくもなかったが、姉上が喪主では出ない訳も行かず参列したが、本当に少数の人間しか来ていないし、殆どが姉上の関係者だ。あの男の人望の無さがよく判る、地獄で苦しむがいい!
埋葬が終わり、参列者が帰ったので、やっと姉上と話す事が出来る。
「ラインハルト」
「姉上」
キルヒアイスは少し離れて姉上と俺の時間を作ってくれている。
姉上とは話す事が出来た、今度はキルヒアイスお前の番だ。
離れたところに居るキルヒアイスを呼びに行く。
「キルヒアイス、姉上が」
「アンネローゼ様」
「ジーク、今日は来て下さってありがとう」
「アンネローゼ様、宮廷で何かお困りのことが御座いましたら、どうかラインハルト様や私にお話し下さい。少しはお気が晴れるかも知れません」
「ありがとう、ジーク、本当にありがとう」
その話の最中にグリューネワルト伯爵夫人の執事が割って入ってきた。
「グリューネワルト伯爵夫人、誠にお気の毒な事で御座います。陛下の仰せにより今夜のオペラ鑑賞は父親の冥福を祈るために伯爵夫人には暫しの休養をとの事で御座います」
姉上も驚いている、此で姉上と暫く居られるのだろうか。皇帝もたまには良いことを言う。執事が続いて話をする。
「なお、伯爵夫人には一週間ほどノイエ・サンスーシから外出し、ご実家で父親の冥福を祈る様にとの事で御座いますが、伯爵夫人のご実家が既に存在なさらないため、シェーンヴァルト男爵邸も存在しないため、幼なじみのキルヒアイス男爵邸でシェーンヴァルト男爵共々冥福を祈る様にとの事に御座います」
更に姉上が驚く、俺もだ、キルヒアイスも驚いている。一週間か、姉上と何を喋ろう。
「ラインハルト様、宜しいのですか?」
「ジーク、良いのですか?」
「キルヒアイス、ご両親にご迷惑をかけるが、宜しく頼む」
キルヒアイスが張り切る顔だ、姉上は困った顔だが、大丈夫だろう。
帝国暦484年10月15日
■オーディン キルヒアイス男爵邸 エ
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