第百四十話 キルヒアイス家の人々
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言われては、それ以上強行する訳にも行かず未だに昔懐かしい雑用は出来ない状態だ。
今では精々私は趣味の蘭の栽培と食後の黒ビール、妻は偶の食事作りと息子のセーターを編んだりするのが趣味に成っている。それだから最近、妻と二人で敷地内に移設された嘗ての家でアフタヌーンの御茶を楽しむのが日課に成って居る。未だ息子が小さく賑やかだったあの頃が懐かしい。
憲兵隊へ息子達が転属してきて何回も会っているが立派に成ったものだと思うが、あの若さで既に大佐だ、出世と共に妬みも生まれるのだから、特にラインハルト君はグリューネワルト伯爵夫人絡みの良くない噂を聞く事も有り息子が心配で為らない。
しかし、何時も二人一緒に行動し下宿も一緒だ。せめてオーディンに居るときぐらい実家に帰れば良いものを、あれでは孫の顔を見るのが何時になるやら、手前味噌ではないが息子は良い男だから、女性ぐらい選り取り見取りであろうに、女性に興味がないのではと妻と心配している。まさかと思うが、怪しい関係では無いのかと勘ぐってしまう。
帝国暦484年10月13日
■オーディン 憲兵隊総監部 ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト
憲兵隊へ来て早くも4ヶ月が経ったが、デスクワークは非常に辛い、宇宙へ戻りたい。キルヒアイスは平然と書類作業をしているが、俺は段々飽きてきた。それに今俺達が調べている書類は廃止された社会秩序維持局の恣意的にねじ曲げられ冤罪になった者達の書類だと言うことも有る。
ルドルフ以来悪事を重ねてきた社会秩序維持局の汚泥と汚物にまみれた書類の整理だ、既に数百年経ってた書類など何の価値があるのかと言いたいが、此も奴等の罪を暴くためだと言われたので仕方なく書類整理だ。
「ラインハルト様、手がお止まりですよ」
「キルヒアイスも良く飽きないな。俺はいい加減飽き飽きしている」
「誰かがやらねばならない仕事ですから、それに新しい方は今なら流刑星から助けられる人々が見つかるのですから、やりがいがあります」
キルヒアイスは、何時もこうだ。ゴミための中でも美点を見つけようとしているのだから。
「そうだな、そう思えば辛くないか」
「そうですよ、ラインハルト様」
帝国暦484年10月14日
■オーディン 憲兵隊総監部 ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト
何時ものように書類整理中にTV電話が鳴った。
『此方はジークフリンデ皇后恩賜病院です、帝国軍中佐ラインハルト・フォン・シェーンヴァルト男爵様でありますか?』
「そうだが」
なぜ病院から?それにこの担当者の言い辛そうな顔は何だ?
『御父君であらせられる、ライヒスリッター、セバスティアン・フォン・ミューゼル氏におかれては、帝国暦484年10月14日10時18分、当病院
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