二十一話:壊れゆく日常
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「その時の祐斗は今すぐにでも死んでしまいそうだったけど目には復讐の炎が宿っていたわ……。最近はそれもなくなったと思っていたのだけど、イッセーの聖剣の写真を見てからまたそれが戻ったのよ」
当時の事でも思い出したのか、部長は悲しそうに顔を伏せる。
アーシアも元々は教会に居た身なのでかなりショックを受けている。
目を潤ませ、辛そうに拳を握りしめている。
アーシアは優しいからな……こんな事聞かされたら心中穏やかじゃないよな。
それにしても聖女として崇められたアーシアですら知らなかったなんてな。
聖女なんてそう何人もいるわけじゃないだろうからそれ相応の地位はあったはずだ。
それなのに知らなかったという事はだ、聖剣計画はより教会の上層部が秘密裏に行ったものなんだろうな。とにかく、そうなってくるという事はこの問題はかなり根深い問題という事になるな。
俺達の力じゃ、ちょっとどうしようもないな……。
「自分の欲望の為に他人を犠牲にするか……」
ボソリとそんな言葉を零したルドガーにその場に居る全員の目が向く。
『自分の欲望の為に他人を犠牲にする』
確かに極論で言えばこの計画はそういうことになるのか?
俺にとっては分からない考えだけど、他の誰かを犠牲にしてまで叶えたい願いなのか。
そこの所をどう思うのか聞いてみようかと思ってルドガーを見ると何かを酷く思いつめた表情をして自分の右手を見つめていた。まるで手放した誰かを見る様に。
「もし“君”ともう一度、会えるなら俺は……」
そう呟くルドガーの目に思わず背筋が冷たくなる。
なんて表現すればいいのか分からないけど……とにかくその目は不気味だった。
冷たかった。苦しそうだった。それに何より……悲しそうだった。
ルドガー……お前は一体、今何を考えているんだよ。
どうして―――泣きそうな顔をしているんだよ。
そんな俺達の視線に気づいたのか、ハッとして明らかに無理やり作った笑顔を浮かべるルドガー。何だってお前はいつもそうやって辛そうな顔を隠すんだよ?
「ごめん、みんな。俺、今変なこと言ってよな。ちょっと疲れているんだろうな。部長、今日は俺も帰っていいですか?」
「……ええ、帰ってゆっくり休みなさい」
「それじゃあな、みんな」
部長も今のルドガーの様子がただ事じゃないと判断して帰る許可を与える。
無理やり顔に張り付けた笑顔で俺達に笑いかけて部室から出て行くルドガー。
そんなルドガーの様子が見ていられなくて思わず呼び止める。
「ルドガー……『聖剣計画』の事お前はどう思う?」
「………何も、俺には言う資格はない。自分の為に―――世界を壊してきた俺には」
―――ゴロゴロッ!
雷の音がル
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