二十一話:壊れゆく日常
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と口にする木場。
復讐って……どういうことだよ…それにどうしてルドガーに聞くんだよ。
木場が言う、失った者達の為っていうことは……誰か大切な人を奪われたのか?
それにルドガーに聞くってことはルドガーも大切な誰かを失ったのかよ。
聞かれた方のルドガーはただ黙っていたが、ふいに自嘲する様な笑みを浮かべたかと思うと口を開いた。
「……それに対してどうこう言う資格は俺にはない」
「そうかい……。やっぱり僕達は似ているようで似ていないんだね」
それだけ言い残すと、踵を返して部室から出て行く木場。
今度は止めなかった。いや……止められなかった。
去っていく木場の後ろ姿がまるで泣いているように見えたから……。
俺は……仲間一人の悩みすら解決できないのかよ。
俺は去っていく仲間一人、追うことができないのかよ。
俺って……弱いな。
「部長……あいつは……木場は何を背負っているんですか?」
「そうね……話しましょう、祐斗の過去を。祐斗の苦しみを――――――――」
部長から聞かされた木場の過去。木場の苦しみの元凶。
――聖剣計画――
聖剣っていう俺達、悪魔にとっての最終兵器とも言えるものはかなり使い手を選ぶらしい。
何でも才能、適正、相性とかの生まれながらの才能が全てだという代物だ。
殆どの聖剣は当然のことながら教会に厳重に保持、保管、管理されていて
今まで聖剣の適正がある奴が聖剣を握りその力で俺達のような悪魔や魔の者を葬ってきた。
だからと言って、聖剣を使える適正を持っていて、尚且つ敬虔な信仰心を持つ者という縛りをクリア出来る奴は少ないらしい。俺達人外は人間より身体能力が遥かに高いし、魔力を扱うことにも長けている。だからそのハンデをカバーする為に人間は聖剣みたいな強力な力を秘める武器を有効に活用するしか方法がなかった。
そこで教会が考えたのが『聖剣計画』らしい。
ついこの前まで人間だった俺でも知っているような聖剣エクスカリバー。
そんな有名な武器を誰でも使えるようにするために使用者を一から育て上げよう。
そんな感じの計画が『聖剣計画』らしい。
詳しいこととかは良く分からないけど大体こんな感じだな。
正直言ってここまでならそこまで酷い話でもないし、割とよくあることだとも思う。
だけど、根本的な問題はその後に聞いた“被験者”の受けた仕打ちにあった。
計画の為に集められた幼い子供達は様々な人体実験や過酷な試練を施され、それでも聖剣に適応できなかった被験者は処分された……。本当に胸糞の悪くなる話だぜ。
そして、木場はその被験者の中での最後の生き残りらしい。木場は処分寸前で仲間達の協力によってなんとか教会の魔の手から逃げ延び、死にそうなところを部長が拾って眷属にしたらしい。
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