二十一話:壊れゆく日常
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Side兵藤一誠
部室の窓から見える空は生憎の雨だ。遠くから雷の音も聞こえてくる。
この前、俺のアルバムを見た後から木場の様子が明らかにおかしい。
今日あった『球技大会』の最中も全然集中してなかったし。
そのせいで危ないことになっていた。
まあ、ドッジボールの最中は俺しか狙われなかったけどよ…。
ちくしょう、これもイケメンとフツメンの差別だっていうのかよ。
……て、話が逸れたな。
とにかく、木場の様子が可笑しいから、部長はカンカンだ。
―――パンッ!
「これで目が覚めたかしら? 祐斗。」
「………………………」
うわっ、今のビンタは痛いだろ。
部長、今の本気でやってたからな。
それにしても眷属を大切にする部長が手を出すなんて相当やばいな。
まあ、最近のあいつは心ここにあらずといった感じだったし。
部長も堪忍袋の緒が切れたんだろうな。
「……すいません。僕が集中していなかったばかりにみんなに迷惑をかけてしまいました。今日のことは僕が全面的に悪いです。………だから今日はもう帰ってもいいですか」
木場は心底どうでもいいような表情でそう言い放つ。
今のセリフはやばいだろ。
流石の部長もキレるだろうな。
「祐斗、あなたねえ!」
「それでは失礼します」
部長の言葉を無視してさっさと立ち去ろうとする木場。
その背中が俺には酷く危なげに見えた。
その姿を見ていると流石にこのまま放っておくのはやばいと感じたので。
木場の危なげな背中に声をかける。
「おい、木場待てよ」
俺の声に足を止める木場。
でも前を向いたままでこっちを振り返り素振りすら見せない。
そんな態度に、心配して声をかけたとはいえ、腹が立つ。
おい、流石の俺も怒るぞ?
「君には僕の気持ちなんて分からない。もし分かるとしたら……ルドガー君だけだ」
「は?」
ルドガー…なんで、今ここであいつの名前が出てくるんだ。
そう思って、ルドガーの方を向いてみる。そしてその表情を見た瞬間、思わず鳥肌が立つ。
あいつ……なんて表情しているんだよ。
ルドガーの表情はゾッとするほど青白くておまけに目からは光が消えている。
一体全体、どうしたんだよ?
……そう言えば最近はルドガーの様子もおかしかったような気がする。
木場程じゃないけど、考え事をしていたし、いつもはしないようなミスを繰り返したりしていた。木場の様子がおかし過ぎて気がつかなかったけど、あいつも十分可笑しかった。
でも取り繕うのが上手くて俺達は気づいていなかったんだ。
「僕は失った者達の為に復讐をする。君は止めるかい、ルドガー君」
初めて振り返ったと思うと全く表情をうつしていない能面のような顔で“復讐”
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