暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第九十四話 主と従者
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
どれだけ優秀だろうと一人の人間に出来ることなどたかが知れている。
 間違えても俺と同じようにはなるな、はやて」

 正義の味方という名の破綻者になるな、という言葉は士郎の過去を聞いた者には重過ぎる言葉である。

「……それで良いやろうか」
「まじめに従事することは悪いことでない。
 だがこれはあくまで、はやて達のプライベートだ。
 これまでバタバタしていた上に年明けからも忙しくなるんだ、プライベートぐらい発散するべきだぞ」

 静かにはやてと士郎の視線が交差する。

「はあ、士郎君には敵わんな。
 なら皆でお邪魔させてもらうわ。
 ええな?」
「はやてちゃんがそう言うのでしたら」
「はい、私達はかまいません」
「はやてと旅行にいくのが嫌ってわけじゃないしな」

 はやての問いかけにシャマル、シグナム、ヴィータが答え、ザフィーラも静かに頷く。

 こうしてはやて達、八神家も今回の旅行に参加することが決まった。

 くよくよ迷うなどヴィータらしくもないと思いながら襲った側からすれば心の内は色々と複雑なのだろうと内心で苦笑する士郎。

 それを隠すように少し強めにヴィータの頭を撫でる。

「撫でんなよ」

 士郎の行動に文句を言うヴィータだが、言葉と裏腹に手を払うことなく、受け入れていた。
 はやてをはじめとする他のメンバーも士郎に撫ぜられるヴィータに気がついていたが、顔を見合わせ笑うだけで何を言うことはなかった。

 それぞれがゆったりと思い通りの時間を過ごし、温泉と夕食に舌鼓を打ち、夜の自由な時間を過ごし始める。
 大人達はお酒とおつまみを中心に囲み、未成年組みはおしゃべりと用意していたトランプで。

 ちなみに温泉に入る時に諦めずに美由希が士郎を誘い一騒動あったのは別の話。

 しかし楽しい時間はあっという間に経つものでヴィータがうとうとし始めたことをきっかけに、子供達が布団を用意された部屋に戻り、大人達も心地よくアルコールが回りそれから程なく解散となった。

 子供達は当然、大人達も寝静まった真夜中
 自然と目を覚まし、上着を手にして足音も気配も消して部屋を後にした者がいた。

「さすがに冷えるな」

 白い息を吐き、空に浮かぶ月を眺める一人の影。

「眠れないのかい?」

 中庭に佇む姿を見つけたのか、先客と同じく目を覚まして出てきたのかはわからないが、静かに先客に歩み寄る。
 無論、先客も気配で近づく者には気がついており驚くことなく

「いえ、ただふと目が覚めたので」

 月に向けていた視線を相手に向けた。

 中庭で向かい会う影の距離は五メートル程離れている。
 言葉を交わすには不自然な距離。

「こうしてちゃんと話をするのは、なのはが
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ