『悪霊使い』の少年
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たのか、祖父が彼に食ってかかって喧嘩が始まったのはいつもの流れだが。その代わり、千城のそばにいる不思議な存在は千城の危険からいつも護ってくれた。高所からの転落はその腕で地面に接触して受け身を取るようにしてくれたし、その噂を聞きつけて面白がる同級生をブチのめしたりもした。いつしか、千城は『悪霊使いの少年』と呼ばれるようになっていたが。
「やあ、隣いい?」
「ああ、木場か。構わない」
? ?当たり障りの無さそうな笑みを浮かべて金髪の女子生徒、木場夢美は仰向けになって空を仰ぐ千城の顔を覗き込んだ。駒王学園の誇る二大お姉さまなる存在に含まれていないらしいが、結婚したい女子ランキングに年間でランクインしているらしい。その手について聡い三匹のエロもとい、兵藤一誠、松田総司、元浜アキラによる情報である。どんな経緯で出会ったかは覚えていないが、千城の幼馴染みの少女から貰った帽子を褒めてくれたのがファーストコンタクトだった気がする。
? ?あまり人に踏み込みたくないこともあり、千城は極力同級生との関わりを避けていた。ズカズカと人の心に踏み込んでくる兵藤は置いておいて、だが。
「今日も帽子似合ってるね」
「ありがとうよ。お前はどうしてここに?オカルトケンキュウカイってのはいいのか?」
「オカルト研究部、ね。少しくらいは大丈夫、君と過ごしたいからね」
? ?台詞の端々に気遣いの色や一般男子高校生をどきりとさせるものが含まれている。一緒に時間を過ごしているとき、まるで実家にいるような安心感がある。所属している部活の名前の誤植を訂正し、木場は千城の星をあしらったエンブレムのある帽子を見る。普通のカスケットやソフト帽でなく、ニット帽タイプの帽子。授業中は千城が文句を言われたくないというので外すが、基本的に被っていることが多い。お気に入りらしく、同じものでもカラーリングの違うものを多く持っている。友人同士で誕生日プレゼントを渡そう、となった時に木場も千城に帽子を送ったことがある。
「やれやれ、その言葉で何人の男が勘違いしているのか」
「ん?なんのこと?」
? ?木場は首を傾げる。どうも、本人には自覚がないようだ。勘違いしてしまいがちな木場の言動でこれまで何人の男子生徒が当たって砕けたことだろうか。木場からもはっきり断るのでいつしか、木場夢美レートなるものが生まれて徐々に上がっていく難易度。剣道部に所属してはいないが、剣術にも嗜みがあるということで剣道部からはスカウトを受けているが、木場は断り続けている。学園二大お姉さまの二人が所属しているオカルト研究部の活動内容は分からないが、その辺で色々とある様子。
「今日も千城くんの悪霊さんは元気?」
「上々、ってところだ。相変わらずとも言える」
「そっか。元気そうでよかったよ、
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