第68話 女の子は父親似の男に惹かれるんだってさ
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しな」
「御免なさい……でも、やっぱりお父さんと離れるのは……寂しいな」
「だが、その親父とは血の繋がりはないんだろ?」
「……うん」
もじもじしながらなのはは頷いた。なのは的には銀時は実の父の様な存在だ。だが、世間から見れば二人は赤の他人でしかない。
事実、銀時が自分を育てているのも理由がある。そして、なのははその理由を知っていた。
なのはを育てている間だけは、家賃の半分は養育費として免除され、更に飯代も面倒見て貰える、と言う条件がお登勢から出されたが為に銀時は育児を引き受けたのだ。
正直、その条件がなければ銀時はなのはを育てなかっただろう。そして、もし銀時があそこで自分を拾わなければ、今頃はどうなっていただろうか?
仮に拾われ、育てられる事になったとしても、もしまた捨てられる事になったらどうしよう。
そんな不安がなのはの中には重く圧し掛かっていたのだ。それからだった。なのはが必至に万事屋の仕事を手伝い始めたのは。
物心ついた頃から捨てられないようにする為にと必至に仕事を覚えた。最初は見よう見まねしか出来なかったが、徐々にやり方を覚えていき、次第に万事屋の一角に入り込めるようにまでなった。
だが、やはり不安は拭えない。新八や神楽と言った新たな家族を得た今でも、なのはの中にある捨て子と言う不安は拭えなかったのだ。
仕事を探す事は出来ても共に仕事をこなす事が出来ない非力な自分。そんな自分が時にとても恨めしかった。
父と一緒に仕事が出来る新八が、神楽が、とても羨ましかった。そして、力のない無力な自分がとても腹立たしかった。
父の側に居たい。父と共に居たい。自分ではそう思っていても、果たして銀時はどうなのだろうか?
もしかしたら、自分と共に居る事に嫌気がさしてしまっているのではないだろうか?
考えれば考える程不安になってきた。次第にその不安はなのはの幼い心を容赦なく締め上げ始めてきた。
必至にその黒い考えを拭い去ろうと試みても、その黒い影はまた襲い掛かってくる。そして、なのはの心に辛い影を落としてくるのだ。
お前は捨て子だ!要らないからお前は捨てられたんだ!今は拾われたが用がなくなればまた捨てられるんだ!誰に拾われても同じだ、どうせまた捨てられるだけだ!あの男だって金目当てで拾っただけの事だ、価値がなくなればまた捨てられるだけだ!
「違う、違う違う違う! お父さんは……私のお父さんは……そんな事……そんな事しない!」
耳を抑えて自分の中に聞こえてきた黒い言葉を必至に振り払う。だが、幾ら耳を抑えていた所でその言葉は消えやしない。寧ろ、更に激しくその声は襲い掛かってくる。
やがて、その声は聞き覚えのある声になってきた。
(この役立たず! 仕事を探すことが出来たって結局は俺
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