第68話 女の子は父親似の男に惹かれるんだってさ
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、よたよたと辺りをうろつき回りながら男は狂ったように笑い出していた。
「どうしたの? 叔父さん」
「あぁ、気にするな。思い出し笑いをしただけだ。それよりお前のリボンだったな。後で探しといてやる」
「有難う。叔父さん!」
案外良い人なんだなぁ。なのははそう思えた。確かに怖い顔をしているだろうが、それは外見的問題だ。中身は違うのだろう。
「それにしても、今夜はやけに綺麗な満月が拝められたもんだ」
ふと、男は空に浮かぶ月を眺めだした。それに釣られるかの様になのはもまた男と同じように月を見上げる。
今宵の月はまた一段と美しく輝いていた。まるでおとぎ話に出てくるかぐや姫のラストシーンを彷彿とさせるような、そんな輝きを放ってる月であった。
「本当だね、今にもかぐや姫の遣いの人が来そうな月だね」
「かぐや姫の遣い……ねぇ、なら俺が差し詰めその役になるんだろうな」
「どう言う事?」
「なぁに、物の例えって奴だよ」
案外冗談も言えるんだな。と、意外そうに思えた。しかし、本人の前でそんな事を言ったらもしかしたら傷つけてしまうかも知れないのでここは黙って置く事にした。
「ところで、この船って叔父さんの船なの?」
「俺のだからこうして乗ってるんだろ?」
「そっかぁ、でもこの船おっきいねぇ。一体どんな仕事してるの?」
男の後ろで子供特有の目の輝きを放つなのはを横目で男は見る。後ろでは男からの回答を胸躍らせながら待つ年頃の少女の姿があった。
その目を見た為か、男はふと笑みを浮かべていたが、誰もそれに気づきはしなかった。
「そうだなぁ……星の海を渡り歩く仕事……だろうな?」
「星の海を渡る……分かった! もしかして叔父さん海賊でしょ? あれだよね、叔父さんも一つなぎの秘宝『ワン○ース』とか探してるんだね? 叔父さんも夢はでっかく海賊王になるとか?」
「海賊王ねぇ……それもまた、面白ぇかもな」
「でしょでしょ! ……ところで、星の海って何? 普通の海じゃないの?」
いまさらながら気になるフレーズがあり男に尋ねてみる。すると男は黙ったまま夜空に向かい指を差した。夜空を指さす。それが一体何を意味しているのかさっぱり分からず。
ポカンと夜空を見上げたまま大きく口を開けると言うおかしな顔をしてしまっている事に気づかないなのはが其処に居た。
「星の海で夜空って……どう言う事?」
「言葉の通りだよ。俺達はこの江戸……いや、この地球ってでっけぇ星を通り越して、その先にある宇宙ってでっけぇ海を泳いでるのさ」
「宇宙! 宇宙って何!?」
なのはの目が更に輝きだした。子供は初めてのフレーズに心躍るものだ。彼女もその例に漏れず、男が言い放った宇宙と言う言葉に大きなときめきを感じていたのだ。
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