第68話 女の子は父親似の男に惹かれるんだってさ
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も余り効果はなかった。
寧ろ、その眼光の奥に宿る物をなのはは見ていたのだ。
「相変わらずお前はガキの癖に肝っ玉が据わってるな。この状況で大概の奴なら俺を見た途端奇声をあげて逃げ惑うかパニックを起こして一心不乱になって斬り掛かって来るかのどっちかだろうぜ」
「そうなんだ……でも良かった。こんな所に一人でいたら心細かったよ。叔父さんが居たお陰で少し安心出来たよ」
「俺を見て安心か……つくづく変わってる奴だな、お前は」
言動の割には何処か嬉しそうな表情を浮かべているようにも見える。が、やはりそれをなのはが理解出来る筈もなかったのだが―――
「でも、何で私こんな所で寝てたんだろう?」
「俺の連れがお前を見つけたから此処へ連れて来たんだ。後少し見つけるのが遅かったら、今頃辻斬りに殺られてただろうからな」
男のその言葉を聞き、ハッと思い出した。そうだ、あの時自分を呼ぶ謎の声に導かれるがままに停泊していた巨大な船に乗り込もうとしたのだ。
だが、生憎近辺に入り口はなく、唯一の出入り口は閉まっていた為に入る事すら出来ず、どうしようかと悩んでいた時の事だ。
【こんな夜道で一人歩きはいけないなぁ〜、お嬢ちゃん】
何処か間延びしたような、人を食ったような声がしたかと思うと、その直後に意識が飛んでしまい、気が付いたら此処で寝ていたのだ。
どうやら付近をうろついていた辻斬りに見つかってしまったのであろう。こうして生きているのは幸いだと言えた。
だが、辻斬りに会ったとは言え何故無傷なのか? 普通多少の切り傷位は負う筈だ。それが無傷など有り得ない。
すぐになのはは自分の体の部位を調べた。何処か斬られた箇所はないか、まだ意識がハッキリしている状態じゃないので痛みもそれほど感じてはいないから正確な位置の判明は難しい。
両手で必至に辺りを探る。胴体、両腕、両足、今のところ体の各部に異常は見られない。
ホッとして髪に手をやった時、その異変に気付いた。
「あ……髪……切られてる!」
そう、なのはのトレードマークとも言えた両端に束ねていた髪が見事に切り取られていたのだ。それに、お気に入りだったのと同時に大事にしていたリボンもなくなっていた。
「そんなに髪を切られた事がショックか?」
「ううん、そうじゃない。ただ、あのリボンは……お父さんが昔私にくれた大事なリボンだから―――」
「銀時が?」
「うん………叔父さん、お父さんの事知ってるの?」
ふと、男が銀時の名前を口にした事に気づいた。確かに言ったのだ。銀時、と。
「そうか、あいつがくれたってのか……あのリボンをねぇ……まさか、あいつがそれを持っていたなんてなぁ」
突如、男が顔を手で覆いながら狂ったように笑い出し始めた。肩を震わせ
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