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駄目親父としっかり娘の珍道中
第68話 女の子は父親似の男に惹かれるんだってさ
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訳じゃねぇからな」

 苦しい言い訳であった。そんな言い訳を聞くと、なのははクスクスと笑い出した。

「あぁっ! 今てめぇ笑ったな! 笑っただろう!?」
「わ、笑ってない……笑ってないよ……」
「嘘つけ! 口元抑えて必至に震えてるじゃねぇか! かぁぁぁぁ、恥ずかしい! 俺の人生一生の汚点じゃねぇか!」

 天を仰ぎ銀時は叫んだ。余程それを見られたのが恥ずかしかったのだろう。とても悲しそうに泣き叫んでいるのが見えた。
 
「銀時……有難うね」
「あ? 何だよ、改まって」
「銀時が居なかったら……多分、私もう生きてなかったと思うから」
「何だよ。あの時の飯の事かよ。気にすんな。同じ骸漁り同士だし、それに目の前でガキが骸になんのはあんまし良い気分しねぇからよ」
「うん、だからさ……有難う」
「……やっぱ、お前変な奴だわ」

 改めて、銀時はそう思い出した。その間、終始なのはは笑いっぱなしであり、銀時はふくれっ面をしている次第であった。




     ***




「……夢?」

 また妙な夢を見たようだ。そう思いつつもなのはは何時の間にか自分が寝てしまっている事に気づいた。意識が戻った際に感じた感触と言えば、木の板の冷たい感触だった。さっきまで石の床を踏みしめていたのにどうして?
 疑問に思いつつ身を起こした。此処が何処なのか、どうして今まで眠っていたのか、それらを把握しなければ始まらないからだ。

「此処って……」

 見回すと其処はどうやら船の甲板の上だったようだ。しかも、おあつらえ向きに自分が入り込もうとした船だと分かる。だが、何故自分が甲板の上で眠っていたのか? 
 記憶を遡ってみても、自分が船に潜入した記憶は残っていない。となれば一体どうして―――

「よぉ、気分はどうだ?」
「え?」

 声がした。何処かで聞いた覚えのある声だった。そう、確かに何処かで聞いた声だったのだ。
 でも何処で聞いたか?
 時刻は夜だが、空には満月が辺りを照らしてくれている為思いの外明るかった為に視界には困らなかった。その為、その声の主を見つける事もそんなに苦労はしなかった。
 それは、なのはの丁度目の前に立ち、空に浮かぶ満月をひたすら眺め続けていた。
 紅色の着物に蝶か或いは蛾の刺繍が施された派手な衣服を身に纏い、片手に煙管を持ち、右目は包帯で厚く隠されている。

「叔父さん……もしかして、あの時の―――」
「今度は、親父と間違えなかったようだな」

 振り返り、こちらを見るその顔は、不適な笑みを浮かべ鋭い眼光を光らせていた。大概の人間ならそんな顔を見れば狂気に取りつかれた男と認識するだろう。
 だが、生憎なのははその狂気を知らなかった。その為に、その鋭い眼光を見たとして
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