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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十七話 キフォイザー星域の会戦
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度何処かで思い切り艦隊を後退させ敵を引き摺り込む。その場合は俺とルッツ提督二人で退くのではなくどちらか一方のみ退く。敵の艦隊も隊形を崩すだろうし多少は側面が伸びる筈だ、そこをキルヒアイス総司令官に突いてもらう、同時に後退しなかった方は全面攻撃で敵を混乱させる。そういう形で逆撃をかけるしか無いと思うのだが……。
「総司令部より通信が入っています!」
オペレータの声が上がった。また厄介事か、スクリーンに映すように命じるとキルヒアイス総司令官、ルッツ提督が映った。
『厄介な事になりました』
キルヒアイス総司令官の表情が硬い、良くない兆候だ。
『後方から艦艇群が接近しているようです。一万隻を超える大軍だとか』
艦艇群? 一万隻? 艦橋がざわめいた。
「間違いないのですか?」
キルヒアイス総司令官が頷いた。
『してやられました。おそらくは貴族連合でしょう。このままでは前後から挟撃される事になります。その前に前方の敵を叩いて撤退します』
撤退? 出来るのか? ルッツ提督も厳しい表情をしている。
『先ず主砲斉射を三連、全面攻勢に出て敵を怯ませた後、一気に後退します。敵が追って来なければそのまま撤退、追ってくるようであれば私が迂回して側面を突きます。お二人はそれに合わせて反転攻撃、敵を崩しましょう。そしてタイミングを見計らって撤退……』
『……』
「……」
如何する? 良いのか? 上手く行けば良いが上手く行かなければ……。
『時間が有りません、指示に従って下さい』
已むを得ない、時間が無いのは事実だ。ルッツ提督に視線を向けると彼が頷いた。俺も頷き返す。
『分かりました』
「総司令官閣下の指示に従います」
『では全艦に主砲斉射の準備を』
『はっ』
「はっ」
正念場だ、危険ではある、だがここを乗り切れば……。まだ勝負は分からない筈だ。
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