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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十七話 キフォイザー星域の会戦
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線がこちらに向かってくる。五万隻の艦隊の攻撃、悩んでいる暇は無い、戦え!
帝国暦 488年 9月 23日 レンテンベルク要塞 ナイトハルト・ミュラー
「ミュラー提督」
出撃から戻り部屋で休息を取ろうとしたところをビッテンフェルト提督に呼び止められた。
「何でしょうか?」
「少し俺の部屋に寄って行かんか、コーヒーでもどうだ」
「分かりました、頂きます」
正直部屋で休みたかったが誘われては仕方が無い。部屋に入るとビッテンフェルト提督がコーヒーを出してくれた。疲れた体にコーヒーが染み渡る。思ったよりも美味い、良い豆を使っているのだろう。
「別働隊の話、聞いたか?」
「戦いが始まったとは聞いていますが」
ビッテンフェルト提督が“そうか”と言ってコーヒーを一口飲んだ。
「思う様に行っていないらしい。負けているわけではないがな」
「そうですか」
「上手く行かんな」
ポツンとした口調だった。ビッテンフェルト提督にしては珍しい事だ。表情も沈んでいる。
「先日の話、如何思った?」
「……あの話ですか、何と言って良いか……」
「……俺はどうにもならん、と思った。どうにもならんと……」
「どうにもならん、ですか」
「ああ」
ビッテンフェルト提督はコーヒーカップを見ている。たしかにどうにもならない。
「あの話を聞いた時、俺は最初総参謀長を責めた。だが皆を救うためだったと言われてはな……。それに焦土作戦は一度は皆で受け入れたものだ、今更非難するのは卑怯だろう。例の件についても勝手な事をするとは思ったが俺に代案が有るわけじゃない」
「……」
「あの男のした事を認めたわけじゃないが何も言えなかった。第一死んでしまった人間は帰ってこない、それに秘密はもう相手に知られてしまった。どうにもならんな」
ビッテンフェルト提督が首を横に振っている。
「皆も同じ気持ちじゃないのか。最後は総参謀長に任せて終わりだ。これからどうするかなんて誰も言わなかった。話しても無駄だと思ったんじゃないかな、どうにもならんと」
「……」
そうかもしれない。あの時有ったのは脱力感だった。俺だけではなく皆も同じだったか……。
「総参謀長がローエングラム侯に話す、それさえ決まれば……、そんなところだな」
「そうかもしれませんね。小官も酷く脱力感が有ったのを覚えています」
「せめてローエングラム侯に話しておけばとも思ったが……」
あそこでエーリッヒ達を問答無用で攻撃出来たかもしれない。伯爵夫人を失うが秘密は守れた。エーリッヒも斃す事が出来た。補給物資も戻ってきただろう、戦局は一気に変わったかもしれない。
皇帝を失う事を責める人間もいたかもしれない。しかし政府首班であるリヒテンラーデ公はおらず政府は機能して
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