暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
朱 宇春はとあるロックバンドに対しても妖艶なペースを保つ
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て言われちゃった。でも私って意外と有能なのよ?何でもそつなくこなせちゃうんだから」

 「そうには見えないんだが」

 「じゃあ、今貴女達が抱えてる悩みを解決してあげるわよぉ?」

 何気なくそう言ってみると、彼らの目つきが変わった。一気に周囲の温度が変わったのを感じて、宇春は少しだけ警戒する。彼らが堅気ではないのは確実だ。いざとなったら逃げるのもやむを得ないだろう。

 自分から話を振ったにも関わらず、さりげなく酷い考えを脳内に打ち立てた宇春に、白髪の少女は慎重に言葉を選びながら問うた。

 「本当に、言えば解決できるのか?」

 「あー、できるだけ日常的なことでよろしくねぇ」

 「今からここでライブをしたい」

 「……ん?」

 彼女の唐突な言葉に、さすがの宇春も目を点にさせた。聞き間違いだとしたら失笑を買う話だが、耳には自信がある方だ。それでも聞かずにはいられなかった宇春は、もう一度言うように頼んだ。

 「今からここでライブがしたい、と言っている。日本語通じてるか?」

 「……どうやら私の耳がおかしいわけじゃないみたいねぇ」

 「お前、私達の悩みが何だと思っていたんだ?」

 宇春はそこで彼らを一通り眺めてみた。女性が2人と男性が6人。そのうち青い制服の少女と、先ほど重そうな拳を繰り出した男以外は特攻服に身を包んでおり、彼らは誰もが剛健な体つきをしている。

 ――ん?白い特攻服と黒い特攻服……。どこかで見たような……。

 ――あ。

 「ねえ、貴方達、もしかしてヘヴンヴォイス?」

 その言葉に反応したのは、首元にマフラーを巻いた男だった。一ヵ所だけ赤く滲んだ部分がある。先ほど青い制服の少女にルースと呼ばれていた人物だった気がする。

 「おう、そうだ。アンタも俺らのライブ見たいだろ?」

 「私はこの後デリヘルの仕事だから」

 男の言葉を軽く受け流し、顎に手を当てて方法を思索する宇春。何でも屋である彼女は、この街に人間関係という薄くて広いネットワークを築いている。それらを必要最低限に利用すればどうにかなるかもしれないが――

 「だって貴方達、『私のお友達』の敵なんでしょ?」

 「あ?何言ってんだ?」

 マフラー男が胡乱な目でそう言った。しかし、それが偽りの色を含んでいる事を彼女は知っている。

 「私はね、この街で何でも屋もやってるの。そのために広げた情報網は綿密だし、私が求めなくても簡潔な情報ならいくらでも入ってくる。まあ、貴方達がロシアの殺し屋っていう話は、殺し屋のみんなから直接聞いた話だけどねぇ」

 眼前の集団から発せられる警戒の色が濃くなっているのを感じながらも、彼女は自分のペースを保ち続ける。

 「それで、貴方達
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