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横浜事変-the mixing black&white-
朱 宇春はとあるロックバンドに対しても妖艶なペースを保つ
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が――
「あれ?」
足の歩みを止めた宇春。それから首を傾げ、前方に立つ二本の赤い門柱とその近くにいる色濃いメンバーを見て呟いた。
「今どき特攻服だなんて、変わってる人達ねぇ。……ちょっと話しかけてみようかしら」
妖艶な色気を放つ何でも屋はそう言って足を前にぐんぐんと進めていく。やがて会話が出来る距離まで近づいたのだが、彼らは誰一人として彼女に目を向けない。丸い輪を作って、誰しもが思案に更けた顔をしている。
相手にされない事を不満に思って眉を曲げた宇春だったが、突然何か企むように口角を吊り上げると、すぐ近くにいた青い制服の少女の耳元に顔を近づけ、優しく吐息を吹きかけた。
「ひゃっ!?」
「ほほう、なかなか可愛らしい声を出しますなぁ」
満足げな顔をする何でも屋。しかしその直後、どこからか途轍もない殺気を感じ取り、彼女はバネ仕掛けのおもちゃさながらの勢いで後ろに飛んだ。刹那、自分の顔があった場所に直球パンチが繰り出されていたのを視認し、彼女は背筋を強張らせた。
――あとちょっと反応に遅れてたら、私の顔潰れてたわぁ。誰なのよこいつら。
それでも相手に感情を見せまいと、宇春は両手を合わせて謝罪のポーズを取った。一方で、いきなり行動を起こした彼らの様子を見た通行人は驚いた顔をして、そそくさとその場から離れていく。
「突然イタズラしたのは謝るわ。ごめんねぇ」
「貴方は何者ですか?まさか殺し屋……」
宇春に不意打ちを食らわせようとした大きな体躯の男が低い声で問いかけたが、そんな彼を先ほどの少女が制した。
「……その動き、只者ではないのは百も承知だ。今回の件に関わっていない殺し屋か?にしても、私への不意打ちには殺意を覚えた。耳に息を吹きかけられて喜ぶのはルースぐらいだぞ」
「ちょ、なんで俺の名前出すんすか」
「お前ぐらいしか浮かばないからだよ、こういう系統に関心のある奴が」
冷静な声色に内心ガックリする宇春だが、表情から笑顔を抜き取らず、言葉を返した。
「私は殺し屋じゃないわ。中華街で働いてる普通の従業員。で、貴方達の姿が異様に目立ってたから話しかけただけなの」
「今の攻撃を躱しておいて普通であってたまるか。……というか、お前寒くないのか?」
怪訝そうな顔をして呟く少女に、宇春は自慢げな笑みを作って答える。
「私は寒いの苦手じゃないから。それに、誰かから見られてるって思うと身体が火照っちゃうし」
「……」
少女の目が宇春の上半身から下半身へと移動していく。そして、下らないとばかりに顔を引き
攣
(
つ
)
らせ、呆れた言葉を吐き出した。
「……お前、バカだろ」
「やだぁ、年下の子にバカっ
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