二十話:俺の願いは……
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いつも同じクルスニクの被害者なんだよな……。
凄く気に入らないけどな。
「だけど、ルドガー君は俺達とは少しだけ違う。審判を越えたんだろ? ユリウスの命を使ってさ」
「……どういうことだ?」
「審判に関わるか関わらないか、それを選択する機会が与えられるらしいぜ。
審判を越えたルドガー君にはさあ。羨ましい限りだぜ」
審判に関わるか関わらないか、それを選択する機会が与えられる?
それなら、俺は関わらない。
もうこれ以上審判に俺の人生を狂わされたくない…っ!
「俺は審判に関わらない。今の生活で俺は満足している」
そう。俺は今の生活に満足して―――。
「本当にそう思ってるのかよ? ルドガー君」
「っ!? お、俺は―――」
「会いたいんだろ? 兄貴に。―――“偽物”のマクスウェルに」
「リドオオオオオオオッッ!!!」
限界だった。俺は『武器創造』で双剣を創り出し斬りかかる。
だが、リドウはヒョイと簡単に避ける。
くそっ! どうして当たらないんだ!?
「いやー。動揺してるねえ。ルドガー君。そんなに動揺してたら当たる物も当たらないぜ」
「俺は……俺はっ!」
剣を握る手が震える。
否定できない。今まで自分では気づいてなかった。
……いや。気づかないふりをしていた。
俺は兄さんに会いたい、ミラに会いたい、エルに会いたい。
でも……もう会えないからと諦めていた。
「“審判”を越えることさえ出来れば。また昔に戻れるんだぜ?」
悪魔の囁きの様に、リドウの言葉が俺の心を揺さぶる。
「お前はどうなんだ!? お前は何か叶えたい願いがあるんじゃないのか!!?」
「俺はルドガー君みたく、過去に囚われていないんでね。ただ、自由に。自分の生きたいように、長く生きられれば十分なのさ。だから俺は全力で生き残らせてもらうさ。別に審判に敗れても、こっちの世界は滅びるわけじゃないしな」
そう言ってナイフで俺に斬りかかってくるリドウ。
俺はそれを何とか防ぐ。その間にも俺の頭にはリドウが先ほど言った、言葉が響いてくる。
『また昔に戻れるんだぜ?』
また昔みたいに“みんな”と一緒に―――っ!?
「足元がお留守だぜ?」
「しまった!?」
いつもなら見ていなくても。
避けれるレベルの足払いを受けて、転ばされる。
その拍子に時計も落ちてしまう。くそっ! 油断した!!
「ルドガー君が審判に挑むと。俺の邪魔になるからここで殺させてもらうぜ」
俺の両手を足で踏みつけ動けなくするリドウ。
こんなところで終わるのか……。兄さん…ミラ…。
ゆっくりとナイフを振り下ろすリドウ。
そして俺の喉まであと少しになり―――
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