第2話――恐怖は突然に
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ラール、シモンの四人。
何かの間違いである、と四人は思ったが
「つれてけ」
男は無情にも言いはなった。
「僕が!僕がやったんだ!エルザは違うよ!!」
「オレだ!オレが立案者だ!!!エルザは違う!!!」
コハクとジェラールは叫ぶがエルザは引っ張られて行く。
「わ……私は……大丈夫…………ぜんぜん平気」
エルザは気丈にもそう言って皆を安心させようと、心配させまいと自分は大丈夫であると伝えようとしたが、体が恐怖で震えていることが誰から見ても明らかだった。
「ジェラールが言ってくれたもん。
ぜんぜんこわくないんだよ。
それにコハクがいってくれたとおり笑顔が一番だもん」
無理矢理、恐怖に歪む顔を笑みに変えた。
その笑みは子供がするには歪で異様だった。
『笑顔が一番』
これはエルザがコハクにどうしてそんなにも笑っていられるのか、と問うた時に聞いた言葉だ。
それを訊かれた時コハクはポカンとした顔をした。
まるで質問の意図がわからなかったかのように。
そしてう〜んと唸ってから言った。
「だって、笑顔が一番だから。
皆の笑顔が大好きだから。
ジェラールの笑顔も、ロブおじいちゃんの笑顔もウォーリーやショウやシモンやミリアーナ」
そこで一度言葉を切り
「それにエルザの笑顔も」
だから、僕は笑うんだと。
皆に笑顔になってもらうために。
その言葉にエルザは少し顔を染めた。。
だから今も笑った。
皆を明るくさせようと。
皆に笑顔になってもらうために。
しかし、コハクは違うと思った。
今は笑わないでくれと。
ただ怖いと言って助けてと言って欲しかった。
だってコハクが好きな笑顔はこんなにも辛そうな笑顔ではないのだから。
コハクが見たい笑顔は嬉しい時や楽しい時に見せる笑顔なのだから。
だから、コハクは拳を握り締めた。
「うああああぁぁぁぁぁ!!!」
「「コハク!?」」
叫び声をあげ、コハクは全力で細身の男へと殴りかかった。
その行為にジェラールとエルザは驚きの声をあげた。
まさかあの優しいコハクがここまでするとは思わなかったのだ。
コハクの思いの籠った拳は
振るわれた拳は
空を切った。
「うおっと、危ねぇ。
こいつもつれてけ。
いや、こいつは特別懲罰房送りだ」
あっさりと避けられ大人達に取り押さえられてしまう。
「はなして!はなして!!はなしてええぇぇ!!!」
腹の底から叫び、持てる力の限り必死に抵抗するも、大人と子供の体格差のまえに、縄で縛られ、身動きすらとれなくされてしまった。
「手間かけさせんじゃねぇよ!」
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