暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十九話 だから何だ
[1/4]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
/Alvin
窓枠に適当に腰かけて、見飽きたシャン・ドゥの街並みを見下ろす。
今日も天気は晴れ。乾いた風が窓から部屋に吹き込んでくる。
「それ、さっきヴィクトルから来た手紙な。明日行くとさ。ニ・アケリア霊山から。本物のマクスウェルに会いに。あんた、どうする?」
ベッドの住人は母さんじゃない。ほんっと我がことながら笑えるぜ。
ちょっと前まで母さんが寝てたベッドを占領してんのは、ジランドなんだから。
「……リーゼ・マクシアとエレンピオスの戦争は、エレンピオスのマナ不足が根本原因だ。
断界殻
(
シェル
)
を開けば断界殻に回したマナがエレンピオスにも広がって、数年は
黒匣
(
ジン
)
を使っても大丈夫になる。逆に断界殻を閉ざせば、戦争自体は終わって平和は戻る。代わりにエレンピオスは滅びの坂を転がり落ちる。――ったく、どこでこんな知識を仕入れたんだか、あの黒ずくめ」
ベッドに起き上がってたジランドを顧みる。アルクノアの戦闘用ジャケットを羽織った下、胸板には包帯がぐるぐる巻き。俺が付けてやった傷だ。
ジランドは読んでいた手紙を放り出した。
ベッド横に落ちるぺらっぺらの紙。そこに世界の行く末を左右する内容が書かれてるなんて、どれだけの人間が思うだろう。
「どっちにせよ断界殻をどうにかしなきゃならねえのは確かだ。断界殻となると、やっぱ頼みはマクスウェル。あの小娘どもじゃねえ、本物のな。それで、お前はどうすんだ、アルフレド」
先に聞いたの俺なんだけどなあ。ま、いっか。
「今日中にここを発ってニ・アケリアに行くけど?」
決行が明日なら、今日から強行軍で行かないと間に合わねえ。旅装は整えてある。後は身一つでニ・アケリアにまっすぐゴーだぜ。
「俺も行く」
「はぁ? あんた、怪我人のくせに何言ってんだ」
「怪我人にしてくれたのはどこのどいつだ」
それについては返す言葉もねえけどさ。
「傷はあのイスラとかいう医者のおかげでほとんど塞がった。動いても支障はねえ。この通り」
ジランドはサイドテーブル上の
源霊匣
(
オリジン
)
のスイッチを入れた。
展開する球形立体陣。中に顕現するのは、氷の大精霊セルシウス。
「白いほうの小娘が何したかは知らねえが、こいつを使役する負担も消えた。俺はてめえと違ってオトナだからな。引き時ってのは弁えてる。お前みてえに闇雲に突っ込むガキとは違うんだよ」
その「ガキ」にこてんぱんにやられたのはいつでしたカネ? 叔・父・さ・ん。
ジランドはベッドを降りて、羽織ってただけだったジャケットに袖を通した。いくつかの服と武装を身に着ければ、あっというまにアルクノアの首領が出来上がりってわけ。
こうしてまっすぐ立ってるジランド見てると、本当に
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ