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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十九話 だから何だ
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んだ山道を登り始めた。

 途中、何度かエリーゼが転びかけたが、そこは横に並んで歩いてたイバルがナイスキャッチ。
 ちなみにそのイバルがずっこけたら、俺が腕を掴んで止めてやった。

 先頭では雨を物ともせずにヴィクトルとジランドが話し合ってる。耳をそばだてて聞くに、ジランドは元いた故郷の話、ヴィクトルは……くそ、聞き取れねえや。

「アルヴィン、どうしたんですか?」『心配顔〜』

 お子ちゃまは鋭いねえ。

「何でもねえよ、お姫様」

 エリーゼの頭を適当に撫でてやる。あんま優しくしなかったからか、エリーゼはむくれてティポも怒り顔。はいはい、悪うございました。

「ところでさ、何でエリーゼはヴィクトルに付いてくんだ? イバルはミラのことがあるから分かるとして」
「何で、ですか」

 エリーゼは考え込むみたいに俯いてから、俺を見上げた。

「ミラ、今日までたくさん、エレンピオスの人――アルヴィンと同じ国の人、殺して、来ました。『それが使命だから』って。その使命を言いつけしたのは、マクスウェルなんですよね」
「状況的にな」
「わたしも、精霊を殺す黒匣はよくないと思います。でも、エレンピオスの人たちは、黒匣を使わないと生活できないんですよね?」
「ああ」
「それを知っててマクスウェルがミラに『使命』を与えたんなら……わたし、言ってやりたいんです。どうしてミラにそんなひどいことさせるの、って」

 それってつまり、ミラのためと一緒に、俺たちのために――?

 はあ〜。ったくよお。どいつもこいつも、勝手に大人になっていきやがって。エレンピオス人の命を悼んで、ミラの身の上まで気遣って。俺なんて、エレンピオスのことしか考えてなかったのに。


 お、もう山頂か。――って、何だ、ありゃ?
 黒いボール……いや、もや?

「ここがマクスウェルのいる世精ノ途(ウルスカーラ)への入口だ」

 これが? 堂々としすぎだろ。こんなんじゃ霊山に登った人間なら自由に行き来できるじゃねえか。

『なんだろー、ここ。びんびん感じるー』「精霊の力を感じます……こわいくらい」
「奇跡的な霊勢だ。少しでも大気に変化があれば、すぐ消えてしまいかねない。ここから入ったら、二度と出て来られん可能性もあるぞ」

 イバルがヴィクトルに向けて言った。

「ああ。だから、行くことを強制はしない。私は、進む」

 ヴィクトルは一番に、丸くて暗いもやに入り込んだ。
 もやに変化は、ない。

「ちっ。仕切りやがって。――行くぞ。何かあったらお前が守れ」
『はい、マスター』

 ジランドとセルシウスもまた、暗いもやに、平坦な足取りで入って行った。

 ったく、大人ってのはこういう時に平気な顔するから好かねえんだ
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