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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十九話 だから何だ
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怪我も過労もなかったんじゃ、なんて錯覚しそうになる。
「そんじゃ20年ぶりに、家族仲良く遠足と洒落込もうぜ。――セルシウスは」
『できればこのまま実体化していたい。マスターは完全に復調してはいないから』
「だとよ」
「マナの無駄遣いはすんじゃねえぞ」
『承知しました、マスター』
そんじゃ。我が叔父もそのしもべもヤル気満々と来たら、ここはありがちなホームドラマみてえに、てってけニ・アケリアに向かうしかないっしょ。
んで。ヴィクトル指定の日時と待ち合わせのニ・アケリア参道に、どうにか俺ら3人は間に合った。
「よう、ダンナ。と、ちびっこ2名」
「「チビじゃない!!」」
参道に続く村の門前。待っててくれたのは、ヴィクトル、エリーゼ、イバル。
「久しいな、アルヴィン。それに、ジランド」
握手に応える。頼りにされるってのは気分がいい。
ヴィクトルはジランドにも手を差し出したけど、ジランドは答えなかった。横からセルシウスがジランドを諭すように呼んだが、これにも我関せず。やれやれ。
「シャールの若様とじーさんは呼ばなかったのか」
「じきにラ・シュガル新王とその右腕になる人物を連れ歩いて、万が一のことがあれば一大事だろう?」
そりゃそうか。てっきりフェイのことが言いづらくて呼ばなかったのかと思ったけど、こんな台詞が聞けるってことは、あんた、大分調子戻ってきたろ。
「ミラは?」
そこで3人の様子、特にイバルのが深刻な感じを漂わせた。……やーな話の予感。
ヴィクトルが事情を説明した。
ミュゼの襲来によって、彼らはミラと分断され、ミラは今もって行方不明。……うん。正直聞きたくなかったわ、その情報。
「そういうわけだが、いいのか? 本当に」
「何が」
「この先にいる本物のマクスウェルは、今まで戦った魔物とも人間とも違う。会ったが最後、死闘になる。あえて危険な橋を渡る必要はないんだぞ。君たちだって――」
そこでヴィクトルは言葉を切った。
多分、ユースティアのことを言いたいんだろう。あるいは母さんかもしれない。
母さんは死んだ。ユースティアも行方知れずのまま。そこまで失ってまで戦場に戻らなくてもいいんだと、この男は本気で俺たちを気遣って言ってる。
でも、
だ
(
●
)
か
(
●
)
ら
(
●
)
何
(
●
)
だ
(
●
)
。
「決めたんだ。家族を連れてエレンピオスへ帰るって。あんたらに任せてのうのうとしてられるか」
ヴィクトルはふっと笑んだ。初めて会った時から考えると、この男もずいぶん優しい顔をするようになった。
「ありがとう、アルヴィン」
よせやい。そう素直だとちょっと気味悪いぞ。
ぬかる
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