第12話 2人の鬼、再会を果たす
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痛みは完全に無視し、刃衛と斬り合いを続けた。
しかしそれも長くは続かなかった。
「う゛っ!!」
「千鶴さん!!」
刃衛の放った刃は千鶴の左腕を深く傷つけ、彼女の回復力でもすぐには塞がらなかった
「うっ…ぐぅぅぅ!!」
千鶴は右手で傷ついた左腕を抑えながら刃衛を睨み付けるがそんなものはお構いなしと言うように刀を上げ、千鶴の眼を見ながら呟いた
「いいぞ雪村。今のお前の眼はまさに“鬼”…俺の首を取らんとする眼は良い殺気を宿していたぞ?」
そう口に漏らす刃衛は刀を下す直前にまた不気味な笑みを浮かべて呟いた
「せめての礼儀としてその首を落として副長に見せてやるとしよう!」
「千鶴さぁああああああああん!!!」
―――ガキィィィンン!!―――
美琴の悲鳴が響いた瞬間、金属がぶつかり合う音が響き、刃衛の刃から千鶴を守る刃が現れたのだ
「フンッ…黄泉川から警備員としての仕事をして来いと言われて現場に来てみれば…随分おかしな事が起きているではないか」
千鶴を守る刃の持ち主は金髪で赤い瞳、白いスーツを纏った男性が刃衛を睨み付けた。そして千鶴も突然顔見知りの人物の登場で角は消え、髪と瞳の色が元に戻った
「誰……?」
「貴方は……」
美琴は知らないが千鶴は知っていた。かつて池田屋で出会い、“禁門の変”から何度も新選組と死闘を繰り広げる事になった土方達の宿敵の一人。その男の名は……
「風間…さん……?」
そう、西の鬼達を束ねる風間家の当主であり、土方の最大の宿敵である風間千景本人が千鶴の前に現れたのだ
「ほほう?誰かと思えば確か雪村を色目で見ていた鬼の大将か?」
「そういう貴様は土方達新選組に身を置きながら、アッサリと脱走し攘夷志士に移った殺人狂か?土方や近藤も人を見る目が無い…このような志も何も無い狂犬を傍に置くとは呆れて物が言えぬ」
「む…」
結果的に千鶴を助けてくれた風間だが、自分が敬愛する新選組を小バカにされ、眉間にしわを寄せて抗議の視線を送った。しかし風間はどこ吹く風というような態度を取り、油断を見せることなく刀を構えて刃衛を睨み付けた。対する刃衛も刀を構え、風間の出方を伺った
「“あの女”から話を聞いていたがまさかアンタまでこの世界にいたとはな…鬼の大将?」
「そういう貴様こそ何故此処にいる?風の噂で戊辰戦争でしっぽを巻いて逃げ出したと聞いたが?」
「うふふ…俺は戊辰戦争からもずっと人を斬り続けていただけだよ。やはり人を斬るなら強敵との斬り合いが最高だ。雑魚を何百人殺したところ
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