第3部 始祖の祈祷書
最終章 虚無
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も休み休み言えっ!」
伝令が、総司令官の剣幕に怯えて後じ去る。
「敵の竜騎兵は、ありえぬスピードで敏捷に飛び回り、射程の長い強力な魔法攻撃で、我が方の竜騎士を次々打ち取ったとか……」
ジョンストンは伝令に掴みかかろうとした。
しかし、ボーウッドがすっと手を出して咎める。
「兵の前でそのように取り乱しては、士気にかかわりますぞ。司令長官殿」
激昂したジョンストンは、矛先をボーウッドに変えた。
「何を申すか!竜騎士隊が全滅したのは、艦長、貴様のせいだぞ!貴様の稚拙な指揮が貴重な竜騎士隊を全滅に招いたのだ!このことはクロムウェル閣下に報告する!報告するぞ!」
ジョンストンは喚きながら掴みかかってくる。
ボーウッドは杖を引き抜き、ジョンストンの腹めがけて叩き込んだ。
白目をむいて、ジョンストンは倒れる。
気絶したジョンストンを運ぶように、従兵に指示した。
しかし、その直後、ものすごい振動が『レキシントン』号を襲った。
「何事だ!」
ボーウッドはなんとか体制を立て直し、周りの従兵に言った。
しばらくして、新たな伝令が足早にボーウッドの元へ走ってきた。
「報告!本艦、レキシントン号、前甲板大破!」
「なんだと!」
ボーウッドは伝令に聞き返した。
「先ほどの報告にありました、一騎の敵竜騎士が爆弾と思われるものを上空から投下!甲板を突き破り、艦内で爆発した模様!」
伝令の報告が終わると同時に、艦隊右舷に緑色をした見たこともない竜が現れた。
「艦長!あれです!我が竜騎士隊を全滅に追い込んだ竜です!」
ボーウッドは唇を噛んだ。
「上方、下方、右方戦準備。弾種散弾。何としても撃ち落とせ!」
ラ・ロシェールの街に立てこもったトリステイン軍の前方五百メイル、タルブの草原に敵の軍勢が見えた。
アルビオン軍だ。
三色の『レコン・キスタ』の旗を掲げ、静清と行進してくる。
生まれて初めて見る敵に、ユニコーンに跨ったアンリエッタは震えた。
その震えを周りに悟られないよう、アンリエッタは目を瞑って軽く祈りを捧げた。
すると、遥か上空で爆発音が聞こえた。
即座に上を向く。
すると、そこには、先ほどまでトリステイン軍に砲撃を浴びせていた『レキシントン』号の前甲板が激しく燃え上がっていた。
周りのトリステイン軍もざわざわと騒ぎ始めた。
「マザリーニ!あれは一体……」
アンリエッタは隣にいるマザリーニに聞いた。
「わ、わかりませぬ……」
マザリーニも一体何が起こっているのか全く分からなかった。
するとそこに一人の兵士が現れ、アンリエッタの前で跪いた。
「報告申し上げま
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