第3部 始祖の祈祷書
最終章 虚無
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騎士の横をすり抜け、ウルキオラのゼロ戦は急降下を続けた。
ドラゴンブレスより、ゼロ戦が装備している機関砲の射程は何十倍も長い。
ウルキオラは頭の中を支配するドス黒い何かに身を任せ、正面から七・七ミリ機銃を、竜騎士めがけて叩き込んだのだ。
村の上空には、さらに何匹もの竜騎士が舞っていた。
彼らは味方の竜騎士が、突然あらわれた敵の攻撃によっていきなり爆発したのを確認した。
ブレスじゃない。
してみると、魔法攻撃だろうか。
どちらにしろ、一騎ではいかほどのこともできまい。
三騎が連なって、迎え討とうと上昇する。
それが傲りだということも知らずに…。
ウルキオラは探査回路を展開する。
右下から三騎、上昇してくるのを捉えた。
三騎は、横に広がって上がってくる。
本来ならば、火竜のブレスを浴びると、ゼロ戦は一瞬で燃え上がる。
しかし、このゼロ戦にはウルキオラの霊力の膜が張り巡らされている。
生半可な攻撃では、破れることはない。
ゼロ戦は三騎の上空で、百八十度の水平旋回を行った。
瓶にさした上戸の緑を回り、瓶の中に流れ込むような軌道を描いて、竜騎士たちの背後に回る。
そのスピードに、竜騎士たちは追随できない。
竜騎士が跨る火竜の速度は、現世の速度に換算して、おおよそ百五十キロ。
ゼロ戦は時速四百キロ近い速度で機動を行っている。
止まった的を撃つようなものだった。
ウルキオラは十字の光像を描いた照準器のガラスから、火竜の姿がはみ出る位まで機体を近づけ、スロットルレバーの発射把柄を握り込んだ。
ドンドンドンッ!と鈍い音と共に機体が震え、両翼のニ十ミリ機関砲が火を噴いた。
命中した機関砲弾で、狙われた火竜は翼をもぎ取られ、くるくると回転しながら落ちていく。
間髪入れずに右のフットレバーを踏込、機体を滑らせ次の火竜に狙いをつける。
発射。
胴体に何発も機関砲弾を食らった火竜は、苦しそうに一声鳴くと、地面めがけて落ちていく。
三匹目は急降下して逃げようとしたところを、機首装備の七・七ミリ機銃で穴だらけにされた。
火竜は絶命し、垂直に落ちていった。
ウルキオラはすぐに機体を上昇に移らせた。
速度エネルギーを高度に変換させる。
自然と、機体をそんな風に操っていた。
光った左手のルーンによって、ウルキオラはベテランパイロットの機動をゼロ戦に行わせていた。
展開した探査回路が、次の目標を教えてくれる。
そっちに機体を向けようとしたとき、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「すすす、すごいじゃない!天下無双と謳われたアルビオンの竜騎士が、まるで虫けらみたいに落ちてい
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