第3部 始祖の祈祷書
最終章 虚無
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まえば、あとは各舵を繋ぐワイヤーしか機体の胴体内には存在しない。
ルイズはそこにいるのだ。
「ね、ねぇ…」
ルイズは小鳥のような声で言った。
「なんだ?」
「ほんとに飛ぶの?これ…」
「怖いのなら降りてもいいぞ?」
ウルキオラはルイズを挑発するような口調で言った。
「こ、怖いわけないじゃない!」
「なら黙って乗ってろ」
ルイズは頬をぷくっと膨らませた。
ウルキオラはエンジン始動前の操作を行った。
そして、タバサに頼んだことと同じことをコルベールに頼んだ。
プロペラがゆっくりと回り始める。
「コルベール」
ウルキオラはコクピットから顔を出して言った。
「なんだね?」
「離陸する際に、前から風を吹いてくれ」
コルベールはぱあっと輝いた顔をした。
「なるほど!それで離陸を助ければよいのだな!」
そういってコルベールは呪文を詠唱した。
前から烈風が吹き荒れる。
プロペラが激しく回る。
ブレーキを踏みしめる。
カウルフラップ全開。
プロペラのピッチレバーを離陸上昇に合わせた。
ブレーキを弱め、左手で握ったスロットルレバーを開いた。
はじかれたように、ゼロ戦が勢いよく加速を開始した。
操縦桿を軽く前方に押してやる。
尾輪が地面から離れた。
そのまま滑走する。
魔法学院の壁が近づく。
「ちょ、ちょっと!ウルキオラ!前!」
ルイズの叫びで、壁にぶち当たるギリギリのところで操縦桿を引いた。
ぶわっと、ゼロ戦が浮き上がる。
壁をかすめ、ウルキオラとルイズを乗せたゼロ戦は空に飛びあがった。
脚を収納する。
計器盤の左下についた脚表示灯が青から赤に変わった。
そのまま上昇を続ける。
「わわ、ほんとに飛んだ!」
ルイズが興奮したように騒ぐ。
「当たり前だ。飛ぶようにできているんだからな」
ゼロ戦は翼を陽光に煌めかせ、風を裂き、異世界の空を駆け上った。
タルブの村の火災は収まっていたが、そこは無残な戦場へと変わり果てていた。
草原には三千もの大部隊が集結し、港町ラ・ロシェールに立てこもったトリステイン軍との決戦の火蓋が切られるのを待ち構えていた。
その上には、部隊を空から守るため、『レキシントン』号から発艦した竜騎士隊が飛び交っている。
散発的にトリステイン軍の竜騎士隊が攻撃を仕掛けてきたが、いずれもなんなく撃退に成功していた。
決戦に先立ち、トリステイン軍に対し艦砲射撃が実施されることになっていた。
そのため、『レキシントン』号を中心とした十三艦のアルビオン艦隊はタルブの草原の上空で、砲撃
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