暁 〜小説投稿サイト〜
闇物語
コヨミフェイル
013
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だ。(一応断っておくが、僕は何も盛っていない)
 というのも、月火も火憐も神原が変態だとは知らないからだ(というか、知らせてくない)。
 確かに最近になって神原と妹共は交友を深めていたが、二人に対して神原は変態的言動を自重しているようだった。それに加えて学校の後輩に対しても自重している。そんな苦労の甲斐あってか面倒見がよく、後輩には慕われているようだった。僕からすれば、変態な神原しか見てきていないから、そんな神原をイメージしたときに違和感を抱くことを禁じ得ないが。
 というわけで、神原の頑張りを不意にしないために妹共に神原の本性は黙っていたのだ。しかし、そんなささやかな気遣いがこんな風に裏目に出るとは思わなんだ。
 「これには複雑のいきさつがあってっ!!」
 「へぇ〜。ふぅ〜ん」
 僕の訴えなぞ聞いていない様子の月火。手にはいつとも無くお盆がなくなり、千枚通しが握られている。
 「吸血鬼って不死身なんだよね?」
 「それを何故、今、聞くんだ、月火ちゃん?」
 「なんだよね?」
 「………………」
 恐る恐る口にした疑問も容赦無く無視。
 「不死身だったら死なれる心配もせずに拷問できるんだけど」
 「ひっ!?」
 「まあ、いっか。死んだときは仕方が無かった、運命だったってことで」
 「嘘だろ?なあ?家族だろ?だから、止せ!止すんだ!……く、来るな!やめろ!!寄るなぁぁぁぁ!!」
 手慣れた風に手の中で千枚通しを弄ぶ月火が眼前に妖艶な動きで近づいてくたところで意識がぷっつりと途切れた。ここであまりの恐ろしさに失神したと言って軟弱者と責めれることはないだろう。
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