コヨミフェイル
013
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分から言っておいてなんだが、阿良々木先輩はそうなってほしくない」
「ん?」
「独りよがりの我が儘かもしれないが、阿良々木先輩には私や戦場ヶ原先輩、羽川先輩、千石ちゃん、火憐と月火ちゃんだけを助けた阿良々木先輩でいてほしいのだ。ふふっ、なんだか女子ばっかりだな」
そう言って笑みをこぼす神原。
前にも同じことを羽川に言われたことがあったっけか。いや、戦場ヶ原にも言われたか。そのときは僕が男子には助けの手を伸ばさず、ただ女子しか助けないからとも言っていたな。勿論根も葉も無い戯言だが。
「早く治すのじゃなかったのか、阿良々木先輩」
「あ、ああ。じゃ、続きをするぞ」
神原に急かされるまで神原の笑顔をぼーっと眺めていたことに気付かなかった。
「いつでもいいそ、阿良々木先輩」
「…………」
……………………まくるだけだからな?脱がすわけでも行為に及ぶわけでもないからな?
神原の肌に触れないようにそっとジャージを胸下までまくった。
神原の証言は正しかったようで、腹部には不自然に凹んでいるところが二箇所あった。先程と同じようにリストカットの要領で血を出して患部に掛けた。血が染み込むようにしてなくなると傷一つない健康的な腹部があらわになった。
「よし、じゃあ、後は打撲と擦過傷を治すだけだな」
そうとなればもうリストカットの必要はない。右足の脛や腹部の怪我は骨折を治した際に共に治っていたこともあって、残っている怪我はそれほどなかった。
袖を捲らせて目に付いた怪我を指先に小さな切り傷を付けて、染み出した血を塗るようにして治していった。
「凄惨を極めるであろう闘いに赴く阿良々木先輩に餞別として耳の入れておいてほしいことがある。いや、手を止めないで聞いてくれ」
出し抜けに神原が語気を落として言った。
「そんな壮絶なことじゃないと思うが、なんだ?」
言われた通りに手を止めず、淡々と怪我を治しながら言った。
「火憐ちゃん、いや黄泉蛙についてなんだが、気をつけてほしいことがあるのだ」
「うん?そりゃ、初めから気をつけるつもりだけれど。あの人間兵器が怪異を搭載しやがったからな」
本当に冗談じゃない。鬼に金棒どころではないではないか。物理的破壊力だけが取りえだったかの人間兵器がさらにその破壊力を向上するだけでなく、霊的破壊力まで備えてしまったのだから最悪だ。付加された能力がもしかすればエナジードレインであると思うと、もう先が思いやられる。
「それもそうなんだが、気をつけてほしいことが他にもあるのだ」
そう言って神妙な顔した神原だったが、
「ひゃうん!!」
次の瞬間にすごく女子っぽい声を上げた。
「びっくりするだろうが!」
「阿良々木先輩が強くするからだ。私は初めてなんだから優しくしてく
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