コヨミフェイル
013
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するな!
「ちっ、ばれたか」
「ばれないと思う方が難しいぞ!…………ったく……。とにかく骨折から治すからどこを骨折したか嘘偽りなく言え。さもないと治さないからな」
と、言ったもののすぐにこんなことを言ったところで意味がないと気が付いた。
「それもそれでいいな。何と言ったって好きなときに好きなだけ苦痛を味わえるのだからな」
「…………」
マゾ、やはり最強だな。
しかし、感心ばかりはしていられない。
「いい加減どこを骨折しているか教えてもらえないかな?」
「そうだな。まだこうしていたいが、火憐ちゃんのことがある」
と言うと、肋骨二本と下腿骨の二本折れている。
と、神原は平然と答えた。
「…………本当に大丈夫なのか?」
肋骨が折れると、内臓に刺さってしまうことがあると聞いたことがあるだけに不安になる。大丈夫だと神原は言っていたが、内蔵が傷付けられていないなんて保証はない。そうであれば、並の苦痛ではなかったはずだ。
勿論僕の血があれば、治せる。だが、それは関係ない。
傷をいくらでも治せるからといって部下を敵地に送り込み続ける武官がいつかその部下の凶刃に倒れることは想像に難くないだろう。
傷は治りはしても、それに伴う苦痛はなかったことにはできない。苦痛はときにトラウマとなり、取り除かない限り、心の隅で燻りつづけることになる。それを取り除くことは安易ではないのだ。
それに傷は治せても、死人を生き返らせることはできないのだ。今回は冗談で済んだが、もしかしたら本当に命を落としていたかもしれないのだ。
そうなっていれば、悲嘆に暮れて自決していただろう――冗談抜きで。
「心配性だな、阿良々木先輩は。自分は不死身をいいことに危ないことに躊躇せず首を突っ込んで、その度に深手を負うというにも拘わらず、他人のことになれば、すぐに止めようとしたり、心配したり、深手を負うと、それを自分の責任だと勘違いしてしまう。どこまでも勝手なお方だ」
「ご、ごめん」
うなだれるようにして言った。
ごもっともである。
しかし、誰かが傷付くのを黙っていられほどに冷血漢でありたいとは毛ほども思っていないのも確かなのだ。
「見捨てろとは言っていない。ただ、そんなときは私たちになにか一言言ってほしいのだ。何でもいい。手伝ってほしいとか、待っていてほしいとか、後生だから胸を触らせてほしいとか抱きたいでもまったく構わないのだ。いや、逆に嬉しいぐらいなのだ!」
「…………」
いや、そんな思いの丈を今ぶつけられても挨拶に困るのだけれど。
「ふふっ、少し興奮しすぎたな。だが、これは本心だ。私達の知らぬ間に阿良々木先輩が苦しんだり、命を落としていたと知れば、どう思うと思っているのだ?まさか何も思わないと思っていないだろ
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