第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日・夜:『悪心影』
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。
これなら、外す事もない。後百メートル進むだけで、嚆矢は挽き肉となるだろう。
それでも、前に。足は止めない。最早それはただの痩せ我慢に過ぎず、ただの意地で。
《やれやれ、この頑固者には参ったのう。儂としては、折角の憑代を喪う訳にもいかぬ……では、やる事は一つじゃな》
「…………?」
物言いに、不審を覚える。背後の影、恐るべき『第六天魔王』“悪心影”の翻意。今まで、僅かな付き合いとは言え、この存在が意志を曲げた事はない。
では、その真意はなんだ。その、為すべきは────
《────無理矢理にでも、剱冑を着せる他に在るまいのう!》
「ッ─────?!」
その、ただ一つ────!
『“悪心影”────貴様この余を、この“第六元魔王”を! このような些末事に!』
空間を砕き、現れたモノが居る。まるで虫食いの穴のように、次元を喰い破って────穴を穿ちながら、招聘された黒色の刃金。体長二メートル程の、巨大な螻蛄が吼えながら。
覚えている。あの夢の中で、見た姿。自らを“魔王”と宣わって憚らない、もう一体。
《喧しい────弾正忠の勅令である。儂が憑代を、喰らえ》
『貴様ァァァァァァァ!』
怨嗟の咆哮と共に、螻蛄が砕ける。否、無数のパーツに分解されたのだ。さながら嵐の渦中、逃げるどころか身構える事すら出来ない刃金の乱舞に晒されながら。
《さて、後は御主次第じゃ。呑まれ、狂い果てるも佳し。呑み、従わせるも佳し。全て、全て────あらゆるものは、貴様次第じゃ》
「“悪心影”……!」
悪態は、最後まで紡げない。それよりも早く、刃金が身体を覆う。先ずは右腕、飾利を狙った蚯蚓と黒子を狙った猟犬を打ち倒した時に摸倣し、纏ったモノが。だが、違う。まるで意味が違う。これは『本物』だ。
まるで億を超す毒虫に食い付かれたような、壮絶な痛みと熱さ。グラーキの視線など、目ではない。その悲鳴すら、続々と纏わり付き顔面をも覆う刃金に呑み込まれて。
────諦めろ。人間に、耐えきれる筈もない。屈しろ、それで全て、楽になる。
漆黒に閉ざされた視界に、光が見える。嗚呼、それは……
『無駄な足掻きだ。屈せ────人間! この“第六元魔王”に!』
(…………!)
衝撃を伴う咆哮を放つ……天を突く程に巨大な竜であり。6つの瞳に6つの腕を持つ竜、“まやかしの魔王”にして“第六次元の大君主”たる“|大魔王
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ