Episode34:モノリス・コード
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擬似瞬間移動。
物体の慣性を消し、その周りに空気の繭を作り、それより一回り太い真空のチューブを作って、その中を移動する魔法。
恐らくこれでルアーを所定の位置にまで送り届けるのだろう。よくこんな事を考えつくものだと、隼人は心中で感心していた。
移動が止まるのと同時、試合開始のブザーが鳴った。会場の空気が変わるのを敏感に感じて、隼人も意識を集中させる。
行方を眩ませたエリナの事も気になるが、ここは木場に任せることにした。後は、エースである自分の役割を果たすだけ。
☆★☆★
試合開始直後、すぐにディフェンスの一人を残して、アタッカーである森崎と遊撃であるもう一人は行動を開始した。
チームリーダーを務める森崎は、打ち合わせ通り、単身で岩場に身を隠しつつ前進していた。
岩場ステージは所々に設置された10個の岩以外に遮蔽物のない地形だ。足場はゴツゴツしていて悪いものの、それが有利に働くも不利に働くもお互い様だろう。
つまり、地形によって勝敗が分かれることは少ないということだ。
(…と、そんな風に相手が思っててくれると助かるんだけどね)
手頃な岩場に身を隠して、森崎は太腿のホルスターから拳銃形態の特化型CADを抜いた。
そのままなるべく岩に体を隠して、敵陣地の様子を観察する。
(ディフェンスが二人、モノリスの近くに陣取っているな。あと一人はアタッカー…僕と同じで姿を隠しているか)
敵情の観察を終えて気になるのは、やはりルアーの存在である。
敵の配置を見る限り、六高のルアーは恐らくアタッカーの役割を担っているだろう。そして、それが本命。序盤は守りに徹して時間を稼ぎ、ルアーが参戦したところで一気に叩くつもりなのだろうか。
(まあ、それはこっちも大体同じなんだけど…)
一高のエースは疑いようもなく隼人である。森崎達は最低限、隼人が参戦するまでの5分間を凌ぎきることが仕事なのだが。
勿論、森崎にも隼人にもそんなつもりはなかった。
(可能な限り削る…!)
意を決して、森崎は岩の影から飛び出した。そのまま手首にあるブレスレット形態の汎用型CADで加速魔法を使用。
加速の恩恵をフルに使って、森崎は敵モノリスまでの道を駆けた。
「やらせるか!」
途中、恐らく岩場に身を隠していたであろう六高のアタッカーが突貫する森崎へ攻撃を仕掛けた。
圧縮空気塊を相手にぶつけるポピュラーな魔法。それを、森崎は上空へ跳ぶことで回避する。
圧縮空気塊から身動きの取れない上空へ逃れた森崎を見て、六高のアタッカーはほくそ笑んだ。幾ら魔法とはいえ、空を自由に飛び回ることのできる魔法はまだ開発されていない。
故に、上空へ逃れた森崎はもはやただの
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