Episode34:モノリス・コード
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のがベストか。つまり、主だって戦うのは、僕達の役目……)
知らず、森崎の唇は笑みを形作っていた。
彼は楽しみなのだ。隼人との特訓で磨いた自分の技を披露するのが。そして、その技がどこまで通用するのかを試すのが。
勿論、何れ負ける時は必ず訪れる。
だが、それはそれ。しっかりと反省して自分の糧とすればいいだけのこと。
(…楽しみだ、と感じるのは九十九のクセが移ったのか?)
前を向いて歩き出した優等生の歩みは、止まることはないだろう。
☆★☆★
中東の紛争地域。日夜銃弾や魔法が飛び交う戦場が、絶え間なく続いていた轟音の一切を止めた。
耳が痛い程の静寂。視界の閉ざされた暗闇の世界。そんな世界で、かつて夜叉と呼ばれた男はその能力を遺憾なく発揮していた。
発動した硬化魔法がすべての敵の動きを完全に停止させる。全身の相対位置を完全に固定されてしまえば、自力で動くのはもう不可能だ。すぐ様魔法を解除しようとするも、そもそも端末型CADのキーを打てず、起動式を読み取れない上、並みの魔法師では彼の魔法の支配から逃れることは叶わない。
身動きがとれない敵の前で夜叉が取り出したのは小型のナイフ。月明かりを反射して輝くその小さな刃は、既に血に塗れ赤く光っていた。
死への本能的な恐怖に身を竦ませる『十字の道化師』の構成員へ、彼はゆっくりと尋問を開始した。
肉を削り眼球を抉りだす生々しい音が静寂を破る。
中々口を割らない構成員を前に一人ずつ尋問しては殺すのを繰り返して、そして最後の一人となった。
「貴様に問う。貴様らピエロの目的はなんだ?」
瞳には明確な殺意を、語調には強い強制力を乗せて、夜叉はこれまで幾度もしてきた質問を男に問うた。
これまで何十人という人間が、この男にされるがままに殺されてきた。大した忠誠心も抱いていない組織の情報を喋らなかったのは、まだ金に目が眩んだままだったのか、それとも恐怖で舌が回らなかったのか。
「…そうだな。喋れば見逃してやろう。俺は今後一切、貴様に干渉しないことも誓おう」
口から出る言葉は全てが嘘だ。これ程までに深い闇を湛えた瞳を持つ人間が簡単に見逃してくれるはずがない。男が裏世界に身を窶しもう長い。それくらいの事は、頭で理解していた。
「…じ、自分達の存在証明だと、り、リーダーは…言っていた」
だが、それでも。
命が助かる望みがあるのなら。目の前の男が見逃してくれると言うのなら。
死にたくないという本能から、男は理性が齎した結論を破棄した。
「…そうか。それだけ知れればいい。どこへでも逃げればいいさ」
途端に全身を縫い止めていた拘束が解ける。震えながらも、思い通りに動く体
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