恐るべきは
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旦那!
随分と探しましたぜ」
「・・・鴉、ですか
何の用です?」
雨にぬれることも厭わず、ぬれ鼠となった鬼鮫の旦那は、ただ只管墓標に向かって祈りをささげていた
「お仕事ですよ、お・仕・事!
ったく、波の国から移動したんならそうゼツに伝えてくだせぇ」
ゼツに伝えなかったせいで、波の国近くをうろうろしてたあっしが駆り出されたんですよ
そう嫌味と共に告げると、彼はようやくこちらを直視して苦笑した
「仕事ですか、仕方ありませんね」
「・・・しっかし、鬼鮫の旦那も祈りなんか捧げるんでやすね
誰か良い人の墓ですかい?」
里に残してきた恋人だとか?
そう笑って聞いてみれば、明るく笑って否定された
なんだ、面白みのない反応だこと
「これは、私が殺してきた者たちの墓ですよ
????あぁ、勿論、”私”が殺してきた者たちです
”こちら”の私が殺してきたものは???知りませんねぇ」
墓ぐらい、作って上げられれば良いんですが
・・・そう呟かれて、思わず鳥肌が立った 元から鳥肌だった
「ありゃ・・・鬼鮫の旦那ってそういうキャラだったんですかい」
一々殺害した者の墓を作るなんて、なんてマメな事を
イタチの旦那ですら、黙祷するぐらいで終わっちまいますよ
「”他の私”はどうか知りませんがねぇ
とりあえず”四代目水影鬼灯 満月の世界”の”私”は????
殺してきた者の墓は必ず作っています
・・・1人を除いてね」
世界が違えば習慣も性格も違う
鬼鮫の旦那はそんなに変わりの無いお人だと思ってたが、認識を改める必要がある
確かに、うちのイタチの旦那ですらあんなに違うのに、他の方々が違わないというのもおかしい
・・・オレの所じゃ、もうちょっとツッコミ寄りだったんだがねぇ・・・
月隠れの人間は大抵あんな感じだったそうでやすけど・・・
「さて、無駄話はここまでにしておきましょう
まずは仕事の詳細を聞くとしましょう」
そう言って歩き出す旦那の方に乗る
鮫肌の存在が少々恐ろしいが、不満を言えば削られてしまうので黙っておく
詳細を話そうと顔を見上げれば、何処か虚ろな目でなにやら口を動かした
「(南天、イカリ)
・・・おや?どうかしましたか?」
何をどう言えば良いのか
口ばしを忙しなく動かしてやっと出てきたのは、気遣いの欠片もない言葉
「いえ別に・・・その1人の墓、早く作れたらいいでやすね」
そういうと旦那は、今まで見たことのない、満面
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