暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
日常の変化
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 顔面にいい拳をもらいながら架は思うのであった。





「で、どこに行くんだよ、ルイズ。」

 痛めた頬をさすりながら架はルイズに尋ねた。
 キュルケの部屋を出てから、てっきりルイズの部屋に帰るのかと思っていたが、今は反対方向に向かっている。

「シエスタがアンタのサボった洗濯を持ってきたときに、手紙まで預かってきたのよ。」

 と言って、その手紙を架に渡してくる。未だに機嫌は悪いままだ。だからサボったわけじゃないって・・・と呟きながら架は手紙を読んだ。


『私の実験室まで来てください。その時、架君も連れてくること。
コルベール』

 たったこれだけの文章である。こんなことなら口頭で伝えればいいのだが、

「(他人に知られたくない、つまりそれだけ重要な話ってことか・・・)」
「はあ〜〜。私、あまりあそこ好きじゃないのよね。」
「あそこって実験室のことか?」
「そうよ。よく分からない器具や薬が散乱してて危ないったないわ。それにただでさえ、コルベール先生はよく変人扱いされているのだもの。悪い人ではないんだけど。」

 それを聞いた架はコルベールという人物を思い返す。右も左も分からなかった自分に丁寧に教えてくれた。その優しげな笑みに裏がある様子もなかった。十分信用するに値する人であり、とても変人とは結びつかなかった。
 それよりも架はずっと気になっていたことをルイズに尋ねた。

「なあ、ルイズ。あのヴァロナって人はどんな人なんだ?」
「ヴァロナさん?聞いた話だと、今は没落した貴族の出らしくて、それがコルベール先生の親戚みたいだったの。それで、先生は助手として彼を拾ってあげたそうよ。教師じゃないんだけど、男子寮の寮長をやっているわ。最初はみんな没落貴族って馬鹿にしてたんだけど、あの人は誰にでも優しく接していたわ。そうしている内にみんなも態度が変わっていって、最近はみんなの相談係みたいなことをやっているの。」
「ふ〜ん。」

 随分と慕われているんだな、と架は思った。
 そうこうしているうちに先生の待つ実験室が見えてきた。

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