暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
日常の変化
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何もなあ・・・、と架は心の中で呟いた。キュルケの噂は何となく耳にしていた。そう、『男たらし』という意味で・・・。
 架がドアを閉めると「適当にお掛けになって。」と言われ床に胡坐をかくと、先ほどのサラマンダーが膝の上に乗ってきて、ゴロゴロと甘えるような声を上げた。

「あら、フレイムが他の男に懐くなんて珍しいわね。」

 後から知ったことだが、この世界の竜やトカゲの雄は他の種族の雄が大嫌いらしい。加えてサラマンダーという種族は乱暴な性格が多く、フレイムのこの行動にキュルケが驚くのは当然といえる。

「昔から、動物には懐かれやすかったからな。」
「そう、また一つあなたの魅力が見つけられたわ。」

 フレイムを優しく撫でていると、キュルケが詰め寄ってきた。おい、何だそのうっとりした目は!?ま、まさか!
 架が嫌な予感を覚えていると、キュルケはさらに架に接近し、甘く囁くように言った。

「いけないことをしてるのは分かっているの。でもね、私の二つ名は『微熱』。恋の情熱は突然、そして激しく燃え上がるの!」

 言ってることが訳が分からん。と架が戸惑っていると、

「愛しているわ。カケル。」
「はあ!?」

 不肖ワタクシ17歳、生まれてこの方恋愛経験が皆無です、という架は予感していたとはいえ、突然の告白に思わず声を上げてしまった。

「あなたがギーシュを倒した姿を見たとき、私は確信したの!『運命』だって!!」
「・・・は、はあ・・・」
「ねえ、カケル。あなた好きな人はいて?」
「えっ!?い、いや・・・それは。」

 混乱する架にキュルケが質問した。それに対して架は考える。付き合った回数ははっきりと「0」と断言できる。が、想い人がいたかどうかでいえば・・・
 と、架が考えていると、

ガチャッ


「なに・・・してんの。」
「ッッッ!!?」
「あら、ルイズ」

 ドアが開いたと思ったら、背後から聞きなれた声がして架は背筋が寒くなり、ビクリと体が硬くなった。恐る恐る振り返ると、ルイズはわなわなと肩を震わせていた。俯いているため表情が確認できないが、間違いなく怒っている!!
 ちなみに膝の上にいたフレイムはルイズの殺気に怯え、部屋の隅まで逃げ込んでいた。

「洗濯までメイドにやらせて、帰りも遅いから、一体どうしたのかと思えば・・・そう、そういうことだったのね・・・」
「いや、洗濯に関してはシエスタが勝手に・・・!」
「シエスタ?・・・へえ〜、キュルケだけじゃなくメイドとまでイチャイチャしてたんだ〜」
「だから違うって!!何でイチャイチャしてたって前提なん・・・」
「うるさいうるさいうるさ〜〜〜い!!!」
「ぐはっ!!」

 この世界の人間は人の話を聞かない風習でもあるんだろうか・・・
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