暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第一章 土くれのフーケ
日常の変化
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連れてこられたのは厨房であった。そこにいたのはゴツい体躯をもつコック長、マルトー。
どうやら、俺が日ごろ偉ぶってばかりの貴族に決闘で勝ったことが余程嬉しかったらしい。「我らの剣」というのも「俺たちの誇りだあ!」という意味で付けたようだ。
「マルトーさんだけでなく、私たち平民みんなにとってカケルさんはヒーローなんですよ。」
と、シエスタも嬉しそうに言った。
ヒーローねぇ・・・と架は心の中で呟く。未だ記憶は完全に戻ってはいないが、覚えている範囲でも自分はヒーローとは程遠い人生であったと思う。
あ、でも
正義の味方
(
ヒーロー
)
に関連する人なら知ってるよ。二人ほど。
親友と、彼とよく対立していた赤い外套の男を思い浮かべていると、
「我らの剣よ!よけりゃあお近づきの印に俺たちの手料理を食っていかねえかい?」
と、目の前にコトリと置かれたのはホカホカのシチュー。
先も述べたように今の架は常に空腹感を覚えている。その状態で、見るからに美味そうな食べ物を与えられては断る理由など存在しなかった。
「じゃあ遠慮なく」とパクっとシチューを口にした架は、
「こ、これは・・・!!」
いやはや、すっかり時間を潰してしまった。
日はもう傾いた時間、架はルイズの部屋へと向かっていた。
あの後、作り方を聞いているうちにマルトーと、果てはその場にいた調理人たちと白熱した料理談義となってしまった。調理人たちは、俺の口から語られる聞いたこともない料理名に目を輝かせていた。マルトーともすっかり仲良くなってしまい、「腹が減ったらいつでも来な」と言ってくれた。
料理にはそれなりにこだわりがある。思えば、衛宮士郎と知り合ったのも、それぞれの手作り弁当を見たのがきっかけであった。生徒会室で料理について話し合っては生徒会長の柳洞一成から「女子かお前ら」と呆れられたものだ。
と、ややご機嫌で寮を歩いていると目の前に赤いトカゲ―――サラマンダーが廊下を塞いでいた。あれは確か・・・。
と考えていると、サラマンダーは俺を見るとくるりと体を反転させ、のっしのっしと歩いていく。まるで「ついてこい。」と言っているようである。
「(なんだ・・・?)」
と思いつつ、架はその後を追うのであった。
「いらっしゃい。ドアを閉めて下さる?」
サラマンダーに連れられた場所は薄暗い部屋だった。明かりは蝋燭の火があるだけ。
そして目の前には燃えるような赤い髪に褐色の肌、そして着ているものはベビードール一枚という大胆すぎる格好をした女子生徒。確か・・・
「キュルケ、だったか?」
「あら、私の名前をご存じだなんて嬉しいわ。」
女――――キュルケは頬を赤く染めて言う。
ご存じも
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