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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第17話 解脱
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止まれ。
 刹那よ疾走し駆け抜けろ、時よ流れろ。

 この安らぎを永遠としたくて、この感動に浸っていたくて
 次なる未知を得るために、次なる感動を得るために。


 永劫回帰の既知の世界を望むか?―――望む。
 前人未到の未知の世界を望むか?―――望む。

 二律背反にして、その二律両者を求める。
 それは矛盾、それは水と油。
 何方かを選べば、何方かを捨てねばならない。

 だが、何方でもいいのだ―――彼女さえ居れば。
 未知でも既知でも、天獄でも地獄でも、希望でも絶望でも

 彼女と触れ合えるのなら如何な世界であろうとも頓着はしない。
 だけども、認めない許さない諦めてなるものか――――斯の掛け替えのない宝石を、刹那の輝きを踏み躙る結末など。

 あんな終焉など―――!!

「―――なんだ。」

 脳内を錯綜する言語化するのが不可能な渇望、だがそれを抱いた瞬間酷い既知感に見舞われる。
 何故だ、何故だ、何故―――俺はそれを、この世界の結末を()っている?

「―――ぐっ!?」

 激しい頭痛、意識に砂嵐(ノイズ)が走る。
 激しい頭痛、断片化し意味の成さなくなった膨大な情報の奔流が意識を灼く。

 許さない、認めない、消えてなるものか―――このよう結末など!!
 愛しきものを守り切れず消えてなるものか!!!

 形を成さなくなった雑多な記憶、それに宿る感情が自我を焼く。
 もう一度……繰り返そう。
 一度でダメなら十度、十でダメなら百、百でダメなら千、千でダメなら万、万でダメなら億、億でダメなら兆、兆でダメなら那由他。

 勝てるまで繰り返し続けよう――擦り切れ、磨り減った思念がしみ込んでくる。
 違う、今までそれを認識できていなかっただけで、それは最初からあった。

「何だ……この苦さは――――嫌いだな。」

 過ぎ去った既知感に伴う後苦さに眉を寄せ、忠亮は冬の空を見上げた。
 何処までも透き通るような蒼天、そこに薄らと浮かぶ三日月を睨み付ける。

「―――此度の輪廻は些か趣が違うようだな。この貴重な回帰、是非ともモノにする。
 己は、人類の存続程度で満足はしないぞ……我が怨敵悉くを滅尽滅相し、そして天へと攻め上る。」

 気付けば、半ば無意識そう口にしていた。
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